コーチングを使うべき時・使うべきでない時の判断は?
「経営者や医師はなぜコーチをつけるのか」ではコーチングは部下育成やチームビルディングなど、マネジメントの様々な場面で活用できることをご紹介しました。しかし、コーチングに適した状況・適さない状況もあります。注意したいのは、新入社員など知識や経験、技術が十分でない人への育成です。なぜなら、知識や経験、技術が十分でない場合、コーチングを用いて考えることを促しても、自力で適切な答えを出すことができない場合が多いからです。基本的には、ティーチングをベースとした育成で、必要な知識や技術を身につけることを優先します。ただし、モチベーションの継続を目的として、「承認する(褒める)」など、コーチングスキルの一部を活用することはできます。また、自分で考えて進めていく仕事に取り組む際にコーチングスキルの「質問」を用いて考えさせるなどのアプローチは有効です。
なお、仕事に関する悩みや心配事などへの対応が必要な場合は、上司や先輩がロールモデルとなって相手の精神的なサポートを行う「メンタリング」が適している場合もあります。
対して、知識や経験、技術がある人に対してはコーチングをベースとしたマネジメントが有効です。正解のない仕事や難易度の高いことに取り組む際、コーチングを活用することでより成果が出しやすくなります。コーチを受けることで自分が考えていない観点からも多角的に検討しやすくなり、潜在的な問題を見つけたり、新しいアイディアを生み出したりするのに役立ちます。
ただし、コーチングは相手に考えさせるアプローチを取るため、時間を要します。そのため、緊急度の高い仕事はティーチングのほうが適しています。