経営者や医師がコーチをつける意義は何でしょうか。
米国では、経営者がコーチをつけるケースは珍しくありません。米国のフォーチュン誌が毎年発表している「フォーチュン500」のうち、エグゼクティブ・コーチングを導入している企業は50%を超えると言われています。#1でも紹介したように、facebookやGoogle、Microsoft社の経営者は、コーチをつけていることを公言しています。日本でも経営者や医師もコーチをつけるようになってきています。経営者や医師がコーチをつけることにはどのような意義があるのでしょうか。
1.コーチをつける意義とは?
経営者や医師には、常にハイパフォーマンスが求められます。コーチをつけている経営者や医師の多くも、自らビジョンや目標を設定して、成功を重ねてきたハイパフォーマーです。既にハイパフォーマンスを発揮している経営者や医師が、時間とお金を投資してコーチをつける意義はどこにあるのでしょうか。
コーチングでは、コーチがクライアント(コ—チを受ける人)の問題解決をすることはありません。コーチは、クライアントとの対話でクライアントの考え方や思考の特徴を把握します。そして、クライアントと異なる視点から質問を投げかけたり、クライアントが気づいていないクライアント自身の思考の癖や口癖、言い方、表情などを伝えたりすることで、クライアントの自己認識力を高めます。自己認識力とは、周囲から見た自分の姿・態度を自分自身で認識できる能力のことです。自己認識力が低いと、自分のことを客観視できないため、ひとりよがりや「裸の王様」の状態に陥りやすくなります。経営者や医師には、役職や社会的地位の高さから、周囲が本音や問題点などネガティブな事実の伝達を躊躇することがあります。しかし、事実が耳に入らなくなると、正確な判断がしにくくなります。
コーチは、クライアントの特徴や周囲からどう見られているかを客観的に把握し、自己認識力を高めるサポートを行います。経営者や医師は、周囲が事実を言いやすい土壌づくりを行うために、感情やコミュニケーションの取り方などのセルフコントロールをする必要があります。