『1兆ドルコーチ』をコーチング会社として読んでみた結果、日本の主流と真逆でびっくりした話


本屋で『1兆ドルコーチ』がベストセラー本として並んでいるのを見かけました。

同書では、「すぐれたマネジャーであるためには、優れたコーチである必要があり、高みに上るほど他人を成功させることで自分の成功につながり、それを助けるのがコーチである」としています。日本でも社内1on1の流行なども後押しし、コーチングはリーダーに求められるコミュニケーションスキルの一つになりつつあるようです。

『1兆ドルコーチ』とはビジネスコーチとして活躍した故ビル・キャンベル氏のことで、アマゾンのジェフ・ベゾス氏、アップルのスティーブ・ジョブズ氏、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ氏、グーグルのエリック・シュミット氏、元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏などを支え、彼がもたらした価値は1兆ドルに値するとして讃えられています。

同書をコーチング会社の運営者として読んでみたところ、現在日本で一般的に紹介されているコーチングのセオリーと相違点がありました。
今後日本で求められるのは1兆ドルコーチ的な存在ではないかと思いますが、皆さんはどう思われますか?

日本における一般的なコーチが「やらない」3つのこと

日本で主流となっているコーチングは、「答えは相手の中にある」ことを前提として、コーチが質問を投げかけることで相手の自発的な気づきを生み出し、主体的な行動に結びつけることを目指すため、コーチは自身の知見や意見を伝えないものとされています。

  • アドバイスしない

相手に対して、「〜すべきだ」、「〜した方がいい」など、アドバイスを伝えてはいけないとされています。なぜなら、アドバイスを行うのはティーチャーの役割であり、コーチの役割ではないとされているからです。アドバイスを行うことがコーチへの依存や主体性の喪失につながるとも考えられています。

  • 専門知識などを教えない

特定の知見を相手に教えてはいけないものとされています。なぜなら、知見を推せるのはティーチャーやトレーナーの役割であり、コーチの役割ではないとされているからです。

  • 問題解決を代行しない

相手の代わりに問題解決を行ってはいけないとされています。なぜなら、問題解決をするのはコンサルタントの役割であり、コーチの役割ではないとされているからです。

 

上記が日本における一般的なコーチの「やらないこと」ですが、相手にとって価値があるのか否かという視点は入っていません。

アドバイスをすること、専門知識を教えること、問題解決することで、相手の目標達成や課題解決に繋がることもあるのではないでしょうか。
相手にとっての価値・目的はコーチングを受けることではなく、ビジネスの成果を出すことです。
その観点からすると、日本の一般的なコーチが「やらないこと」は必ずしも相手のためになるのでしょうか。

1兆ドルコーチのビル・キャンベルも、質問を投げかけて相手の気づきを生み、主体的な行動に結びつける点では日本の一般的なコーチと共通していますが、それはビル・キャンベルがやっていたことの一部にすぎません。ビル・キャンペルの目的は、ビジネス上の成果を生み出すことにありました。そのため、相手の成功に必要と思ったことや間違っていると思ったことは、歯に衣きせず相手に伝えていたようです。

1兆ドルコーチは傍観者・第三者的スタンスではなく、主体者・当事者意識を持って相手に関わっていた点で、日本における一般的なコーチと異なります。また、コーチのやることを限定せず、相手にとっての成功や成果創出を第一としていました。

1兆ドルコーチはアドバイスもする

2000 年頃、グーグルではエンジニアリング部門のマネジャー職を全廃する方針が出されていました。しかし、1兆ドルコーチは「ここにはマネジャーを置かないとダメだ」と反対意見を述べています。結果、グーグルはこの方針に従っています。

1兆ドルコーチは教えることもある

ある経営セミナーでは社内1on1のやり方を説き、お互いが話したいことをそれぞれ5つ書いて同時に見せ合うことで、共通点を確認できたり優先順位づけの練習になったりすることを教え、1on1のフォーマットを築き上げました。

1兆ドルコーチは問題解決もする

相手が困っている内容を聞いて、1兆ドルコーチ自身が解決できる問題であった場合、コーチが直接問題を解決することも行っていました。

このように、1兆ドルコーチの凄さは、コーチの役割を杓子定規に決めず、相手の成功にとって必要なことを一緒に成し遂げる当事者的スタンスだったように感じます。

それが、「部外者」、「傍観者」ではなく組織の「主体者」、「当事者」として数々の名経営者に重宝された理由ではないでしょうか。

もちろん、状況やコーチの経験・特性などによってコーチにできること・できないことがあるのも事実ですが、最初からコーチの役割を限定することが相手にとってデメリットになる場合もあります。我々myPeconもコーチングの手法や「やらないこと」にこだわらず、ユーザーにとっての成功・必要なこと・価値を最優先してセッションを行っています。

皆さんがコーチに求める役割は何でしょうか?