コーチは自己実現のための伴走者ー燃え尽きる前に医療者にコーチングをー【後編】 松本卓先生

前編に引き続き今回は松本卓先生のインタビュー後編をお届けします。

-私の個人的なイメージですが、医師の世界では求められる能力のレーダーチャートのようなものがあって、そのレーダーチャートを大きくすることが正解とされる、そんな印象があります。
まさに私もそういう発想でやってきちゃったんですよね。この資格を取ればこれが伸びる、それで自己実現ができると思っていたんです。でもその限界を感じたというか、いくらレーダーチャートを広げても一向に自分の目指す世界にたどり着かない。だから何故医者になったのかというところから一回見つめ直しました。今はレーダーチャートを広げていくという感覚とも違って、心があったかくなる方に自然と体が動いている感じです。

-相対的な社会から抜けられたんですね。
ああ、そうですね。そういう価値観から一回抜けたというか。自分で自分を評価する尺度が変わった感じがします。
これをしないと同級生に負けるという感覚がなくなってきたというか、まあまだ残ってますし「競争」という感覚がなくなったら成長がなくなるかもしれないので大事だと思うんですけど、それをちょっと脇に置いておけるようになった。ノイズが入りづらくなりました。例えば「同級生がいい病院に行ったらしい」、焦るけどちょっと待てよと。仮に僕がその病院に行ったとしてそれを僕がよしとするかなって。望む医療、望む未来がそれで果たしてなし得るだろうかと一歩引いてみれるようになった気がします。