医療界にこそ健康経営を
名古屋第二赤十字病院 名誉院長 石川清先生

病院の健康経営にはコーチングの手法が効果的

-病院が健康経営に取り組むと、どんな成果が出てくるでしょうか。

職員について言えば、離職率が減るといったところでしょうか。病院が職員の健康を大切にしているということは職員満足度につながる要因の一つだと思います。また、健康経営に取り組んでいることがアピール材料となり、優秀な人材に選ばれることにも繋がっていくでしょう。特に心のケア、人間関係改善にまで取り組んでいくことができると、職員満足度も高まると思います。

コーチングの「ファウンデーション(自己基盤)」のチェックの項目の中にも健康に関する項目が結構ありますよね。健康はファウンデーションのかなりの部分を占めているので、それをクリアできたら職員のモチベーションももっと上がるのではないでしょうか。

-病院が健康経営に取り組むに当たって、特に工夫が必要なことはありますか。

職員は医療従事者で、病気についてよく理解しているので、どういうことを重点的にやればいいか、一般企業などよりも効果的に取り組むことができると思います。ただし、取り組みを促す側も相手側も医療従事者ですから、相手の立場をよく考えて話をしないといけません。医者に対して「不健康だからやめてください」と一方的に言っても、受け入れないと思います。そんなときにコーチングの手法は使えるなと思っています。「この先どうなっていきたいですか」というような質問など、自発的な行動を促すのにはコーチングが効果的だからです。