暗い部屋の中で、一点の光明を見い出せるか

それは「RPDCA」というやり方で、プランニングしてすぐ動かせじゃなくて、リサーチ(R)してしっかり検討してからプランニング(P)するという手法です。これは私だけで作ったのではなく、仲間と一緒に生み出しました。これが約20年前ですから、1998年頃です。今でも花王では「RPDCA」が使われています。ただ当時はこれを問題解決の手法として活用していましたが、独立後「課題解決」に変えています。課題解決になると、問題解決よりももっと俯瞰して見て、自分から働きかけられることは何か考えることができます。そういう面から僕は問題解決より課題解決の方が楽しいと思ったんですよ。例えば調剤薬局のお客様がいますが、そこで働いている薬剤師さんは6年生の大学を卒業した、知能の高い方々です。そのような人たちが、定時になったから帰ろうではつまらないじゃないですか。でも、その人たちに働きかけて、課題はないのか、このままでいいのか問いかけると、目つきが変わる人もいます。私は、ヒトは変われる、ヒトには可能性があると思っているんです。自分で課題を見つけて変えていくと、仕事がもっと楽しくなっていきます。

−阿比留さんはクライアントからどのような方だと思われているのでしょうか?

小回りの利く男ですかね。私がいると安心する、そういう存在でありたいですね。お客様は中小企業が多いのですが、社員が「阿比留さん、阿比留さん」と何でも自分に質問しにくるのではいけないと思います。社長に直接聞きにいってもらわないといけないんです。なので社長には「〇〇さんがこういっていますから、あとで聞いてあげてください」、社員には「これ、社長にいってみたら?」と社長・社員の両方に働きかけます。私が手柄を立てるのではなく、お客様が手柄を立てるようにする。そうしないとずっと私がいないといけなくなってしまいますから。自分が目立ってはいけない。あくまで黒子なんです。

−阿比留さんにとってリーダシップとは、一言で表すと何でしょうか?

電球が消えて部屋が真っ暗な状況になったときに、一点の光明を見いだせることですね。慌てず、やるべきことがわかる。「あそこにいけばスイッチがある!」そう言われれば、社員も安心するじゃないですか。

阿比留 眞二 Shinji Abiru
大学卒業後、総合化学メーカー花王に入社。経理、財務、工場原価計算、家庭品・化粧品営業、営業事務、営業企画を歴任。退社後は、事業再生会社でコンサルタントの教育を受け、その後、帝京大学の名誉教授、自己啓発協会の佐藤允一氏のもと、問題解決に取組む。2007年に株式会社ビズソルネッツを設立。現在に至る。