パルクールは壁と向き合い、自分と向きあうプロセス –パルクールの本質−【前編】


今回はSENDAI X TRAINの共同代表であり、TBSのスポーツ番組 SASUKEでもご活躍されている佐藤惇さんにお話を伺いました。前編ではパルクールとは何か、パルクールによるご自身の変化をお伝えします。

パルクールは思想であり哲学

−まずは世間一般に思われているパルクールのイメージと、実際にパルクールとは何なのかを教えてください。
パルクールは街中をアクロバティックに移動したり、屋根から屋根に飛び移ったりしているというイメージが強いのではないかと思いますが、アクロバットなパフォーマンスをすることが目的ではありません。走ったり飛んだり登ったり転がったりといった、自分が今いる場所から目的地へ移動する動きを用いて、人間が本来持っている身体能力を高めていくというコンセプトのもとでのトレーニングがパルクール。「動きを通じて体を鍛えていく」というのがパルクールの本質です。

パルクールの目的は心身の万能な強さを得ていくこと。強さと言っても、力の強さや重いものを持てるという強さだけではなくて、高いところであろうと雨が降っていようと、どんな環境でも体を動かせる万能さと、どんな環境下でも精神をコントロールできる心の強さが求められます。自分だけのためでなく他者のために心身を万能にするという理念のもとにパルクールは成り立っています。パルクールは体を動かす訳ですが、実は精神的な部分の方が重要なので定義付けが難しい。スポーツコンセプトであり、ある種の思想であり哲学である。具現化しない、より精神的なもので定義される概念というのがパルクールです。

−佐藤さんはパルクールのどんなところにはまっていったのですか?
動きに決まりがない、自由なところです。パルクールには他のスポーツや武道にあるような動きの規定というものがありません。雨の日、晴れの日、砂ぼこりがついているときなど、環境の違いによって動き方が変わってきます。だからこそ一度として同じことはない。そういった違いを楽しんでいけること、型にはまらないという自由。そこが一番の面白さに僕は感じますね。自分の好奇心をもとに色々なチャレンジを選択することができる自由さというのが魅力として大きいかなと思います。