【コーチング導入事例】神戸市立医療センター中央市民病院 教育担当者育成プロジェクト2018

自分を客観的に見ることが第一歩

−医療者がコミュニケーションを学ぶ意義は何でしょうか。
岩倉:医療者は人を相手にする仕事です。人はそれぞれ考え方が違う。何を自分の優先順位としているかは人によって違うかもしれない。たとえば3年でもいいから自分の好きなことをして生きたいという人もいれば10年長生きしたいという人もいる。手術はせずに治療をしたいという人もいるかもしれない。話をして、そうした考えを知るのも大事ですし、話をしながら患者さんの考え方が変わる可能性もある。患者さんがどういう考えを持つかはどういう医者に出会うかによるかなという気がするから医者の責任は重大ですよね。知識や技術も必要だと思いますが、コミュニケーション能力も一つの要素として必要だと思います。

坂地:僕ら工学技士は一人では仕事ができなくて、結局チーム医療の一員なんですよね。手術中など、患者さんは喋れない状況の方が多い。となると、他の医療者とどう連携をとるかということが大事です。実際の技術や他のスキルも必要ですが、全体として手術が上手くいくように自分が何をすべきかを考えて他の職種と上手く連携していくためにコミュニケーションが必要ですね。

近藤:医者は知識や技術を必要とされます。でも、いくらいい技術を持ったり、知識を持ったりしていていも、結局患者さんに還元できなかったら意味がない。患者さんに対してコミュニケーションできないといけないし、坂地さんが言われたように、一人では何もできないので、多職種と一緒に治療ができないといけない。今までは知識や技術に重点が置かれて、医者のコミュニケーション能力については軽んじられる傾向があったと思います。だからコミュニケーションについての指導を受けてこなかったのが現状で、おそらく企業の方に比べて医者はそういう認識が低いという状況は変えていかないといけないと思います。

坂地:今からがスタートというか、参加者たちが定期的に集まって最近どうと話せる場があるといい。これで終わりじゃなくて、ずっと続けていかないと意味がないと思うので、続けられる環境があればいいなと思いますね。

岩倉:僕の場合は、性格的に多くの人に使ってみて上手くいく上手くいかないということをフィードバックするほうが自分のスキルになっていくかなと考えているので、糖尿病の患者さんに活用していきたいという気持ちになっています。それで掴んだことを何らか情報発信したいなと感じています。

近藤:個人的には、コミュニケーションの最中にちょっと間を持ったりとか、自分を客観的に見る意識を持つことができたのをまず第一歩と考えたらいいんじゃないかと思っています。まずは自分の状態がどうかを見る。そして自分の周りから始めていけば、学んだコーチングの手法についても、「ああ、それそれ」と思い返す時間や余裕が出てきて、結果的に自分や周りのアカウンタビリティも上がっていくのかなと思います。

岩倉:自己認識力が高いというのは大事なことだと私も思います。そうじゃないとなかなか自分を変えていこうというところにはいかないと思うし、相手の言葉を耳に入れないと思うので。コーチする側も、コーチされる側も自己認識力が高いというのは大事なことだと思います。

 


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