【コーチング導入事例】神戸市立医療センター中央市民病院 教育担当者育成プロジェクト2018

今回は、神戸市立医療センター中央市民病院で初となる職種横断型コミュニケーション・トレーニング「教育担当者育成プロジェクト」に参加された第1期生3名にお話を伺いました。

座談会参加者(敬称略・五十音順)
岩倉敏夫 医長
近藤正人 医長(外科)
坂地一朗 技士長 臨床工学技士

相手にするのは人間、一緒に働くのも人間

−今回の取り組みの目的と背景を教えてください。
岩倉:特に大きな病院では多くの人たちと接する機会があります。色々な職種があり、同じ職種でも立場が違う。そういう人たちとうまくチームを結成してやっていく必要がある。そして患者さんがいる。そんな中では、色々な人と接するコミュニケーションの能力が問われます。コミュニケーション能力を病院全体として高めていきたいということで人材育成センターが2年前に発足しました。

人はそれぞれ考えていることが違うので、考え方を知ることによってその人に合った会話の仕方を選ぶことが出来、コミュニケーションが上手くいくのではないか。また、上手くいかなければなぜ上手くいかないかということをフィードバックしていくことが大事だと思っていました。それを個々のメンバーが達成していければ病院全体のコミュニケーション能力が上がるということで、コーチングの勉強をする機会を得ました。他の職種の人とうまくチームを結成してやっていくために、お互いの職種や考え方を知ることが大事なので、相手に教えるというより相手を知るということをコーチングで学べるといいなと思っていました。

坂地:名古屋第二赤十字病院の話は聞いていて、コーチングというものがあるのだなと思っていました。管理職になってくるとスタッフとの面談も多くなってくるけれど、教育手法をちゃんと学んだことがないんですね。技士というのは職人芸のようなところが残っているところもあり、見て覚えろというスタイルの人も多い。どういう手法をとればいいだろうかと普段考えている中で、コーチングを学びませんかという話をいただいたので、ちゃんとした教育の仕方を学べるならいい機会だと思って参加しました。もともとコミュニケーションは大事だなと思っていました。例えば薬のことを聞きたいけど院内の誰に聞いたらいいか分からないということがよくあるんですね。もっと職種を越えて横の連携を強くすることができたらと思っていたので、そんな中でスキルを学べるならぜひと思いました。

近藤:医者という職業柄、普段要求されるのは知識や手術の技量が重要視されがちです。しかし、実際大事なのは疾患を治すことで、その相手は人間になりますし、一緒に治療を行う医療従事者側も人間です。よって人間関係や教育が非常に大事だと思うのですが、そういうことは意外に習う機会が少ないのが現状です。以前、指導医講習というのを受けています。1泊2日くらいの研修でみっちりと勉強するのですが、実際実臨床に戻ってから、現場ではどう使っていくのか、上手くいっているのか、次にどう活用するかというフィードバックが難しいと感じていました。講義を聞いた直後はやれる気になれるんですけど、実際現場で本当に継続して正しくできているのかどうかは客観的な評価がなければ分からない。今回は集合でのトレーニングだけでなく個人でもコーチがつくのが魅力的だなと思いました。振り返りができるというのは面白いなと実際にコーチと話していて感じました。