あなたはどちら?アカウンタビリティとビクティム

4.なぜビクティムになってしまうのか

普段アカウンタビリティの高い人でも、体調や仕事の調子、家庭の状況などによって、ビクティムに陥ることがあります。アカウンタビリティが高ければ、どんな状況の中でもそれに影響を受けずに自ら解決策を探し、成長の機会へとつなげていくことができます。しかし実際には周囲の環境や自分自身の状態の影響を受けてアカウンタビリティが失われ、ビクティムになってしまうことも多くあります。ビクティムになる主な原因として以下の3点を挙げることができます。

A)リーダーや組織の方針変更が頻繁に行われる・適切な権限委譲がなされていない
B)成功体験が少ない・自己肯定感が低い
C)精神的・肉体的に疲弊している

A) リーダーや組織の方針変更が頻繁に行われる・適切な権限委譲がなされていない
経営者やリーダーが急に方針を変えたために努力が無駄になってしまったという経験が繰り返されたらどうなるでしょうか。主体的に考え行動していた人であっても「また変更になるかもしれない」、「様子を見ておこう」、「どうせやっても無駄」というセルフトークが発せられるようになっていってしまいます。また、仕事や事業を進めていくために必要な権限が与えられておらず、本人の実力に見合ったスピードで業務を進めることができないことも、アカウンタビリティが損なわれていく要因となります。

B) 成功体験が少ない・自己肯定感が低い
「自らチャレンジをして成功した」、もしくは「失敗したけれどその中から学びがあった」という実感が少ない場合、主体的に考え行動することが起こらない場合もあります。新入社員や自己肯定感が低い人のアカウンタビリティを高めたい場合、上手くいったという実感が得られる小さなことから取り組み、その結果だけでなく、プロセスや取り組む姿勢に対しても承認 をしていくことが重要です。自ら取り組んだことに対する成功体験や学びの実感を得て自分自身の行動への信頼を高めることが、アカウンタビリティを高めることにつながります。

C) 肉体的・精神的に疲弊している
主体的に考え行動するためにはエネルギーが必要です。身体に疲れが溜まっていたり、気がかりやストレスがあったりする場合、十分に思考ができず、思うように行動を起こせなくなってしまうこともあります。行動が起こせないと自己効力感が低下し、意識も被害者的になってしまうという悪循環に陥ってしまいます。ビクティムになっている人がいるときは業務過多になっていないか、プライベートで悩みを抱えていないかなどにも注意が必要です。