―コーチングをはじめられたきっかけを教えてください。
もともと事業会社の人事として人材育成の仕事に長年携わっていたので、「コーチング」という言葉自体には馴染みがありました。会社員時代にはキャリアカウンセリングの資格を取得し、キャリア相談室で実務にあたっていた経験もあります。今だから言えますが、正直なところ当時の私は「コーチングって本当に意味があるの?」と結構斜めからコーチングを見ていたと思います。
いわゆる大企業に所属し、「いかに出世するか」「いかに周りから評価されるか」という他者の目を強く意識して生きてきたタイプでした。そんな中、プライベートでは30代半ばでは離婚を経験しました。夫は大学の教員をしており、“夫を支えること”が自分のアイデンティティになっていました。そのアイデンティティが消滅し、「私は一体何者なのだろう」と改めて考えるタイミングが訪れ、自分を見つめ直すこと、自分を取り戻すことが必要だと感じて、思い切ってコーチングを受け始めたのが最初のコーチングとの出会いです。
コーチングを受けていく中で「私はどんな価値観を持っているのか」「何を大切にして生きていきたいのか」といった問いにじっくり向き合いました。振り返ってみると自分の人生にとって本当に大切な時間だったと感じます。この過程の中で、徐々に自分自身でもコーチングを学びたいと自然と思うようになり、学びを進めていきました。気がつくと、今では独立してコーチとして活動するという、当初は想像もしなかった未来にいます。
―実際に学び始めるまで、どのくらいの期間コーチングを受けていましたか?
1年半ほどクライアントとしてコーチングを受けていましたが、自分で学び始めてからもクライアント体験は続けていて、今も継続しています。
コーチングによって自分自身がダイナミックに変化して、人生がより楽しくなっていくことを自分自身も現在進行系で体感しています。豊かなクライアント体験が、自分のコーチングにも活かされていると思っています。
―コーチとしてコーチングをはじめられてからどれくらいでしょうか?
独立してから6年目になりました。
「myPecon」 でも素晴らしいご縁をいただき、様々な場でコーチングをさせていただくことが増えていることがとてもありがたいです。
―コーチングをする上で心掛けていることを教えてください。
一つ目はユーザーとの関係性作りを大切にすることです。コーチングは、コーチとユーザーの関係性に力があり、ユーザーが「コーチが何とかしてくれるでしょう」というスタンスでいると、効力が弱くなると思っています。コーチングには、コーチとユーザーが互いに100%力を出して臨んだときにパワフルな力を発揮する、コーチとユーザーの間で循環するエネルギーがあると思っているので、わたしも常に全力でその場に臨ませていただいています。だから、ユーザーも自らの可能性を信じて、探求心や好奇心をもって臨んでいただきたい。関係性の中で生まれるコーチングのパワフルさを一緒に作れるようにいつも心掛けています。
二つ目は、思考と感性のバランスを大事にすることです。日常や仕事の中で、論理的に考えることが得意な方、感性や感覚を捉えるのが得意な方など、自分が得意なパターンがあると思います。コーチングを活用することで、一方に偏るのではなくて、普段自分一人では扱いにくい部分にも働きかけることで、さらにリソースフルに自分自身を使っていけると考えています。コーチングの目的は、意識と行動の変容を促進することです。そのためには、自分がどんな在り方で、どんな行動をしていくのか。これを明確にし、選択、実行していくことが必要です。そのために、感情や感覚、論理性の両方のバランスを重要視して扱うようにしています。
―法人案件の中には、会社からの指示で、消極的にコーチングに臨まれる方もいらっしゃると思います。そういった時はどのように対応していますか?
最初はそういった方でも、コーチングを継続していくと、自分事になって変わっていかれる方が多い印象です。心から「せっかくお忙しい時間の中でこの場に来ていただいているので、ご自身のためにこの時間を使っていただきたい、そのために私も最大限関わらせていただきたい」ということを願いとして持っているので、まずはそのことをお伝えしています。「言われたから来た」という受け身な姿勢から、コーチングを通して当事者意識ができていく。コーチングは、<人生のハンドルを握る>ためのプロセスと表現されたりもしますが、自律的なマインドがセッションの中で育っていくと思います。そういった変化も楽しんでいただきたいです。
―コーチングを続けてきて、次にチャレンジしたいことはありますか?
現在は、経営者の方や独立されている方、会社の中でマネージャーやリーダーをされていらっしゃる方など、様々な方とご一緒させていただいています。それと、同時に、コーチになるために勉強をされている方向けにコーチングをさせていただく機会も多いです。そういった方々とご一緒していると、自分自身もコーチとして鍛錬し続けたいと常に感じます。その鍛錬の中での一つの指標として「MCC(※)の取得」を掲げています。コーチングは「ここまでいったら上がり」というものがなく、生き様そのものです。コーチ自身が挑戦し続けている、自分の可能性を広げ続けていることを体現することが肝心と思っているので、私自身もそういう姿勢を大切にしています。
※国際コーチング連盟 (ICF) が認定するマスター認定コーチの略称で、国際的に認められた熟練したプロフェッショナルコーチの資格
―これからコーチングを受けられる方に対してのメッセージをお願いします。
私もそうなのですが、一人で考えると同じところでグルグルと考えが回ってしまうことが多いのではないでしょうか。そういう時こそ、誰かの力を借りることも大切です。最初はどんよりした表情をされていても、コーチングの終了後には、気持ちの変化が生まれ、前向きな気持ちで日常に戻ってくださる方がとても多いです。新しいチャレンジや一歩踏み出す時は、葛藤や不安は付いてくると思います。その一歩を踏み出すことで、その先にしか見えない景色や新しい可能性が生まれることで人生がより楽しくなっていく体験を私自身も何度も体験しています。今、現状で何かしらモヤモヤしている方、自分を変えたいと思っているけれど二の足を踏んでいるという方はぜひ一度コーチングを体験していただけると嬉しいです。ご縁があり、ご一緒させていただける機会があれば、その時は、全力で関わらせていただきます!












