myPeconコーチインタビューVol.036田村 史生コーチ

―コーチングをはじめたきっかけを教えてください。
会社にいる時に人事の仕事をしていて、異動や配置の調整を多く担当していました。例えば、若手抜擢を検討するとしても、決めるところまでが人事の仕事で、任命後はうまくいくのもいかないのも本人次第といったところがあったのですが、これって少し違うのではないかと感じ始めていました。むしろ任命後を支援するほうが大事なのではないかと考えるようになり、コーチングを取り入れる動きに至りました。
今から10年ほど前、幹部人事の仕事を担当していた時に、初めて幹部候補に外部コーチをつけてコーチングを実施しました。ただ、当時は費用がとても高かったこともあり、「これを内製化できないか」と考えたことがきっかけでした。もともとコーチングに興味もあったので、自分でも勉強を始めました。

―コーチングの導入を提案されたのは田村さんでしたか?
当時は社内では仕組み化はされていなかったので、本業でもないのに、色々な部署へ出向いてボランタリーにコーチングをしていましたね。企業内コーチングを広める活動も細々とやっていて、今では社内にもコーチが増え、企業内コーチングが制度化されています。
また、社内にはコーチングやキャリアコンサルタントの資格を持ちながらもなかなかそれを活かせない人が多くいました。その人たちに登録してもらい、“おせっかいセッション”という「相談に乗ってほしい人」と「相談に乗りたい人」のマッチングサービスを正式な制度としてではなく、社内のインフォーマルな活動としてやっていましたね。

―社内では手相占いもされていたのですよね。
そうですね。コーチングやキャリアコンサルタントは相談者からはハードルが高く、もっとハードルが低いものは何かという話になりました。「それは占いでしょう!」と言われて、「じゃあ、手相やるわ!」となって始めました。

―手相占いも勉強されたのですね。
すぐに「手相を始めます」と宣言して、本を一冊買って、あとは実践しながら学んでいった感じですね。週に1回、1人ずつ手相を見ていったら半年待ちになるほど依頼が来ました。myPeconでも手相のイベントをやって、コーチの皆さんの手相も見させてもらいましたよ。

―今はコーチングを本格的にやっていらっしゃいますが、セッションの中で心掛けていることはありますか?
コーチングのスキルを前提としつつ、色々な引き出しを使ってセッションをすることを心がけています。myPeconの説明会で「ユーザーが求めるものに対しては、コーチングスキルに限らず、あらゆる手を尽くして応えてください」と聞き、その方針に共感しました。
ただ、コーチングを勉強していた時は「あなたはあたかも答えを知っているかのようなコーチングをしますね」とよく言われていたので、課題解決型にはならないように、誘導しないようにニュートラルでいることも大切にしています。
最初の頃はユーザーさんに対して「何があってもあなたの味方です」というスタンスでしたが、今は「あなたの最大のファンなので、常にあなたの可能性を信じています」というスタンスに変わりました。ファンだからこそ時には厳しめのフィードバックもしますが、それはあなたに期待しているから、という気持ちで向き合っています。

―より関係性が深まったようなスタンスですね。
今思えば、「味方」というだけだとユーザーが落ち込んだ時に共感して終わってしまっていたように感じます。寄り添いながらも「あなたならできる」ということを伝えたい。ユーザーの最大のファンでいることを意識しています。

ー田村さんにとってコーチングにはどのような価値がありますか?
「人とはちょっと違う自分なりのやり方で、誰かを応援したい、喜ばせたい、びっくりさせたい、感動させたい」という思いから、独立して“合同会社Osekayers”を設立しました。コーチングはその中でも最も有効な手段だと感じています。自分にとっては、基本であり、土台となるスキルです。

ーどのような時にやりがいを実感しますか?
ユーザーに言葉でフィードバックをいただけた時はもちろんですが、セッション中にこちらからのフィードバックや質問に対しての反応が感じられた時、セッションでのやりとりが実際にユーザーの行動に繋がった時は嬉しいですね。「相手に何か響いたかな」「プラスになったかな」と感じます。
また、セッションを通じてユーザーがコーチングに興味を持ち、実際に学び始めたと聞いたとき、きっかけづくりができたことをとても嬉しく思いました。

ーコーチングを受けるか悩んでいる方に一言お願いします。
悩むということは、何か受けようと思っている理由があるということですよね。コーチングは決して万能ではありませんが、「自分のためだけの〇分」という時間はご自身が思っている以上に貴重なものです。
あとは、特別なテーマがなくても大丈夫です。「大きなテーマがないと」「整理しておかないと」と構える必要はないです。コーチングを通して何らかの気づきやきっかけは得られるはずですし、何よりもコーチングに興味を持ってもらえることが一番ありがたいです。