道端から始まったコーチングの旅
ー自己紹介をお願いします。
袖川 航平(そでかわ こうへい)で、周りからは「そでこ」と呼ばれています。
最初に通っていたコーチングスクールで呼び名を決める文化があって、高校時代からのあだ名を使ったら覚えやすいと好評だったのでコーチングの時も使うようになりました。
今は独立してコーチをしていますが、コーチングと出会ってからだと今年で11年目になります。
ーコーチングとの出合いは?
20歳の時、大学時代に出合いました。
元々人の話を聞くのがとても好きで色んな人の相談を受けていたのですが、そんな時に新聞の切り抜きで「愚痴屋」というものをやっている学生の話を見つけて…要は道行く人の愚痴を聞くために路上にイスを置いて、座ってくれた人の愚痴を無料で聞くみたいな。それを読んで僕もやってみたいなと思い、イスを買って「愚痴聞きます」って手書きで看板を作って、東京都内の駅前でやっていました。そうすると面白がって話してくれる方が結構いらっしゃって。会社や受験、隣人の話とか、利害関係がない相手に好き勝手愚痴を言えるので様々な話を聞かせてもらっていましたね。無料で聞いていたのですが、中には「これでいいご飯でも食べて」とチップをいただいたり、僕としても結構楽しくやってましたし、人のために役に立ってる感じもしました。
だけど一方で、根本的な解決には繋がってないんですよね。皆さん愚痴をはいて結構すっきりした顔で帰られますが、すっきりするだけで新しく行動を起こすわけではなくてもったいない人が多かったんです。一歩踏み出してみれば変わりそうと思っていたのですが、試しにそれを伝えてみたら「それができないから愚痴を吐いている」と。
ー結構もどかしい気持ちでやっていらっしゃったんですね。
そうですね。これはどうしようかと思っていた時に、当時の知り合いの経営者の方から「コーチングの方が向いていると思うよ」と言ってもらったのがきっかけでした。
興味が湧いて大学の図書館でコーチングの本を読んで、所属していた学生団体で実践していました。
ーコーチ自身が思い悩んでコーチングに出会うことが多い印象だったので、レアなきっかけですね。
そうですね、しかもきっかけは愚痴屋だったので路上デビューのような(笑)
かなり珍しいと思います、あまり聞かないですね。
ーちなみに愚痴屋では常連客はいましたか?
いましたね、2回目3回目来る方が。そうなると愚痴より話をしに来る感じでしたが…色んなところを転々としていたのでリピートよりも新しい人の話を聞いていくっていうことが多かったです。
ーコーチングの勉強をして実際にコーチデビューしたのはいつ頃でしょうか?
学生時代は独学だったので合っているかわからないし、やっぱり自分のコーチングのフィードバックをもらいたかったり、仕事にしたいと思っていました。
ただ、コーチングスクールの費用が学生の僕からすると高かったので、社会人になってから入りましたね。仕事の後や休日に勉強したのがスタートで、ワンコインからコーチングを提供していたのでデビューはそのあたりです。当時はコーチングで何千円いただくっていうイメージが沸いていなかったので知り合いに練習相手をお願いして、そこからワンコインいただくようになった流れでした。
ユーザーとの時間を共に味わう
ー袖川さんがセッションの中で心掛けていることはありますか?
ユーザーにコーチングという場に臨んでいただくにあたっての関係構築という部分を心掛けています。
働きながらお忙しくされている方々は日頃お仕事の中でプレッシャーや色んなことに追われていて、その中で感情に蓋をしたりモヤモヤを抱えている部分があるけど解消できていない、発散できていないことが多いと思うんですよね。そういうことをコーチングだったら自由に話していいですよとは言うのですが、話してもいいと思える相手じゃないとなかなか厳しいですよね。
ーそうですね、最初は身構えてしまいそうです。
そういうことをオープンに話していただけるような場づくりや信頼してもらえる関係づくり、つまりユーザーにとって心理的安全性が高い場を作っていくというのが最近特に心掛けていることです。
ーそれはコーチとしての経験だけでなく愚痴屋の経験も活きているんでしょうか?
そうですね、両方活きているので優劣があるという話ではないと思っていまして。愚痴屋はその場限りの見知らぬ相手で特に自己紹介もなしで、相手のテーマを中心に置くというやり方で、コーチングもユーザーの話したいことにフォーカスしてセッションを進めるというところに繋がっていますよね。ただ、コーチングは継続的に受けていただく方が多いので、全然違う筋肉を使っているような感覚です。
ー関係構築のためにどういったことをされているんでしょうか?
セッションの中で型を作りすぎないようにしています。
例えば アイスブレイク〇分、本題〇分、クロージング〇分、みたいなことは考えずに、その人との話の中で必要に応じてタイムマネジメントをしている感覚です。ユーザーによっては、コーチングとは何か、という話で盛り上がったり、その方の自己紹介で大半の時間を使うこともあったり、逆に僕の話に興味を持ってくれたり。色々伺う中でその人が大切にしている考え方に繋がっていくことがあるので、やり方を決めるよりもその人とその時間を一緒に味わうという意味で型を作りすぎないことを意識してます。
ー相手のリアクションを拾って雰囲気作りを重視しながら進めているのでしょうか?
僕とユーザーっていう関係性を見たときにどういうふうに進めるのがベストか、ということを考えています。ユーザーの反応はもちろん大事ですが、コーチとしても僕から何か意見をお伝えすることも大事なので。視点的には「僕とユーザー」とは別のところからそれを観察するような感覚です。関係性で捉えるっていうことを大切にしています。
ー30分など決まった時間の中で収めることは大変になっていきませんか?
そうなんです、だから無理に納めようとしない方がいいと思っています。時間は限られていますが、守秘義務の話やコーチングの進め方、理解など、最低限その30分の中でやらなければいけないことは当然やります。
ただ、それをさらうだけの30分であまり面白くないので、どちらかというと対話の中で最低事項もちゃんとクリアしつつ、ユーザーがどんな気持ちでコーチングに臨んでくれているのか聞くことを心掛けています。
ー臨機応変に毎度セッションをやられているんですね。
まさにコーチングで大切な原則の一つであるテーラーメイド個別対応ってところで、「初回は絶対こういうやり方」っていうところがないですね。その人に応じたやり方で、という風に見れば本当に即興ですよね。
同じ人でもセッション毎でその時に来るまでのプロセスが違うので。例えば仕事が忙しい時に受けるコーチングと、余裕がある時のコーチング、プライベートで何かあった時のコーチングって全然違うじゃないですか。人によっても同じ人であってもやり方を固定しないようにしています。
ただ、今この瞬間は一緒に焦点を当てて楽しむというのはコーチングの大切な考え方だと思います。
ーセッションによって感性的と論理的も使い分けているんでしょうか?
ハキハキと喋るから普段はロジカルに見られがちなのですが、内情は本当に適当で感性です。ロジカルに振る舞うこともできますし、根っこは感性なのでどっちかに寄り切らないことを大事にしています。バランスですよね。その状況、その相手に応じて自分の引き出しをただ引っ張り出すだけなのでロジカルに関わることもあるし、感性的に訴えかけることもあるし。
ーどちらの方が得意ですか?
どちらでもないですね、苦手意識もないし、得意な意識もないしそういう自分を引っ張り出すだけで。ある意味あるがままの僕で居続けてるだけなので変に合わせに行くという感じでもないかもしれないです。自然な僕のままでいることがある意味いいコーチング場作りだったりするのかなと。変に意識したり、肩肘を張ったりうまくやろうと型にはめるより、なるべくフラットな状態の自分でいるようにはしてますね。逆に相手もこっちもフラットでいるっていう自然な形でセッションができるというのすごく大事かもしれないです。
一ヶ月に数十セッションとやるようになっていくと、作っている自分で居続けるのはやはり無理があると感じます。自分に嘘をつかない自然な状態でコーチングセッションに臨むということは、自分にとっても結果的にいいことですね。
コーチングを受けるか悩んでいる方へ
ー色んなセッションをやられてみて特に印象的だったセッションはありますか?
個別具体のところはあまりお伝えできないのですが印象に残っているところでお伝えすると、その人のキャリアが全く違うとこに意思決定されたとか、それまでその人が一番嫌、絶対にやりたくないって思ってたようなものに決められたとか。ある意味その人の人生が本当に動く瞬間に立ち会えたっていうのは印象に残ってますし、すごく感謝もしてもらえます。
やっぱり一人だと決断したり動き始めるには怖いこともあると思うのですが、それを聞いて背中を押してくれる人がいたら一歩踏み出しやすかったりするので、そういうのはコーチングならではだなと思いますよね。
ー袖川さんはどういう方にコーチング受けてほしいですか?
気になった人は受けてみればいいんじゃないかなという風には思うのですが、こういう人におすすめしたいのは、最近モヤモヤするというか、なんかムズムズするみたいな。それがちょっとずつ無視できないレベルで大きくなっているように感じていて、「誰かに話したい気もするけど、これは何なんだろう?」というような、ボヤっとした気分になっている人にはコーチングがおすすめだと思います。
そういう気分って相談先が思いつかないようなものだったり、「これってそもそも誰かに相談する内容なのかな?」みたいなものだと思います。だけどそういうものほど、その人が本当に望んでいるものとか、価値観とかそういったものが秘められているコアなテーマに繋がっていたりするので、ぜひそういうものをコーチングで取り上げていただければ何かわかったりすることあるんじゃないかなと思いますよね。
ー一緒に明確にしていくことができる、という捉え方ですね。受けるか悩んでいる方に対して何か一言ありますか?
一言かけるのであれば、最近「自分の話を本当の意味で聞いてもらった」って感覚はいつありましたか?ということです。自分の話をちゃんと傾聴してもらって、本当に共感を示してもらって、ただただ一緒にいてくれたような、そういった経験はいつありましたか?と。
もしそれがパッと思いつかないのであれば、コーチングはすごくいい機会なのかもしれません。
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