【研修導入事例】東京ガス株式会社 メディエーション研修から得る新しい知識と変化

メディエーション研修を導入してくださった東京ガス株式会社様に、研修導入の背景や今後の取り組みなどをお伺いしました。

―本日はご多忙のところお時間を頂戴し、ありがとうございます。人事部でのお仕事内容をお教えてください

現在は、服務対応をメインとして働いております。少し馴染みのない言葉になるかもしれませんが、社員のトラブルに対応する仕事になります。社員数が多いとそれに応じて様々なことが起きますので、その一つ一つの事象に丁寧に向き合い対応しています。
その他に全社的な1on1ミーティングの推進事務局を担っていたり今後は賞与査定の取りまとめなども対応したりする予定です。

―どの企業でも社員のトラブルは実際に起こっていることかと思います。そこに真摯に向き合う組織であるからこそ、弊社のメディエーション研修の導入を考えられたのかと思うのですが、きっかけをお教えていただけますでしょうか

これは本当に難しい問題ですよね。近年、社員間のトラブルも発生するようになりました。我々は人事部ですが、各部門にも人事担当者がおります。各部門内で様々なトラブルを解決できれば良いのですが、その中で解決できないものが我々のところに上がってきます。そのスムーズな解決にメディエーションというスキルが役立つのではないか、と考えました。また、我々人事部がそのスキルを身に着けていれば部門担当者に教育研修もできますし、それにより一人でも多くの人事担当者がメディエーションスキルを獲得できれば、部門において様々なトラブルを解決に導いていけるのではないかという期待から、スキル獲得の第一歩としてメディエーション研修を導入することとなりました。
メディエーションという、これまで持ち得ていなかったスキルで会社のトラブルが減っていくのであれば、率先して身に着けていくべきと考えています。なによりも、弊社の事業の在り方としてまさに変革の進行中という流れもありましたので、新しいことにも積極的に挑戦していこうという雰囲気があります。弊社のソリューション新ブランドIGNITURE(IGNITE:灯す + FUTURE:未来 を掛け合わした新ブランド名)もまさに変革の一つとして挙げられると考えています。

―様々な研修を取り扱う中でもメディエーション研修はあまり耳馴染みがないものかもしれませんが、はじめて聞いた際にはどのような印象でしたか。また、参加しての感想があれば是非お教えください

まず、率直に「何だろう」と思いましたね。わたし自身がコーチングについて少しかじった程度知っていたこともあるのですが、よくよくお話を聞いているとその要素もありつつ、一対一の関係をうまく取り持つという観点から新しいことが学べそうだなと思いました。
実際にビジネスメディエーション研修に参加したことで、新しい観点を学ぶことが出来ました。メディエーター的ファシリテーションの仕方に関してはすぐに実践しています。
コーチングやメディエーションは、様々な場面で活用できそうです。これを社内に広めていければと思っています。因みに…コーチングは上司から学びました。当初は、コーチングに懐疑的だったのですが(笑)、いろいろな観点からの質問を経験していくうちに自発的な動きに繋がるということが大きな学びでした。

―実際にこの服務の業務を担当してみて宮崎様はどう思われていますか

会社がより良い方向に進むために必要なことだと思っています。人間なのでトラブルを全く起こさないということはないと思います。ただ、そのトラブルや失敗を起こしてしまった際に、しっかりと反省を促し、一段成長するきっかけとすることで社員も会社組織もより強靭にしてくという仕事だと自負しており、非常にやりがいや意義を感じています。

―1on1も活発に実施されているのでしょうか

そうですね。2週間に一度、1on1を実施してもらうべく全社へ働きかけをしています。導入して2年が経とうとしていますが、正直なところまだまだ「何をやったらいいのかわからない」とか「話すネタがない」などの声もあります。それでも、1on1を実施してこんな風に成長できたとか、やってよかったと思ってくれる社員がひとりでも増えていけば、と思いながら地道に活動しています。セミナーや研修も取り入れていますね。その後は出張1on1としてロールプレイを見てもらいながら「布教活動」も進めています。

―メディエーション研修への改善点があれば是非お教えください

もっと具体的な事例を聞きたいですね。身近な例でシミュレーションができるとメディエーションの概念がもっと早く理解できたかなと。
今後は社内への本格導入に向けて、この研修を導入することで会社にとってどんな良いことが起きるのかといったようなビジョンを描いていくことになるかと思います。

―今後、メディエーションやハラスメント、コンフリクトにどのように取り組まれる予定でしょうか

弊社において、ハラスメント等の未然防止のための取り組みは、今年度、より加速していくことになるかと思います。
例えば、上司がたった一言かけていれば防げるようなこともあるかなと思うんです。異変に気が付き言葉を交わし、モヤモヤを取り除けたことも実際にあるかと思います。上司自身も誰かの部下ではあるので、それぞれの職位において1on1などを通して気持ちを言語化していく必要もありますよね。ですので、まずは現在取り組んでいる1on1ミーティングをさらに進化・深化させていく取組みに力を入れていくことになるかと考えています。
その延長線上に、ハラスメントやコンフリクトの防止につながるものがあるのではないかと。

―様々な問題はもしかするとコミュニケーションが原因になることがあるかなと思いますが、どのように取り組まれていこうと思っていらっしゃいますか

繰り返しにはなりますが、人事部としては1on1の質をより高めていくことに注力していく予定です。これまでの取組みでは、1on1は心理的安全性の確保につながるものとして実施していました。ただ弊社が1on1で求めるのはそれ以上です。心理的安全性をベースにしつつ、部下の成長支援を実現すべく、上司と部下のコミュニケーションを充実させていこうと考えています。そのためには、上司はコーチングスキルや傾聴スキルの獲得・活用、部下は自律的にキャリアを考えていくことなどが、徐々に徹底されていく必要があると考えています。

人事部としてはこういったことを追求していくことで会社の魅力を高め、一人でも多くの社員が東京ガスという舞台で大いに活躍してもらえるよう、支援していきたいと考えています。

―最後に、社員同士のトラブル対応で悩んでいる人事の方へ何か一言いただけないでしょうか

とても大きなメッセージになりますが・・・人間だれしも争いたくて争っているわけではないと思うんです。ただ、そこで争わざるを得ない状況があるのなら、だれかが介入して解消していく必要があると思います。それが大きな問題になれば人間関係も悪化し、取り返しのつかないことにまで発展することもあるかと思います。それって誰も求めていないことで、そうなる前に事前に手を打って一人一人が前向きに働くことが出来るような環境作りが必要なのではないかと思います。そのための一つの手段としてメディエーションの導入があるのではないでしょうか。コンフリクトの解消の為に研修の導入や実施は決して恥ずべきことではなく、会社をよくするための一つだと捉えていただければよいととわたしは考えています。
働きやすさ、というと労働時間や働く環境に目が行きがちですが、人間関係も大切です。社員個人にそこを任せるのではなく、会社がいかにして主体的に社員間の関係をよりよくしていくのかという視点も重要かなと思っています。弊社では1on1がその一助を担っており、そこから会社が良くなるという信念を持っていますのでこれからも頑張っていきたいと思っています。

宮﨑 剛(みやざき つよし)様
東京ガス株式会社 人事部 人事G

 

【ご参考】メディエーションについて
メディエーションは、対立する2名の当事者の中間に立ち、お互いの懸案事項を十分に引き出し、話し合いを通じて双方が相手の理解を深め、両当事者が協力して解決策を作り上げる対話を推進する役割を果たす者を指す。これにより、訴訟など法的な事象に発展することを未然に防ぐことができるとされる。日本では医療界で活用され、発展してきた。昨今のコンプライアンス意識の高まりなどからビジネス界でも社員同士のコンフリクト(摩擦や対立)が増えてきたことから、スーペリアでは「ビジネスメディエーター」として、メディエーションの技術をビジネス界で広めるべく活動を行っている。