3.フィードバックする側・される側の注意点
フィードバックはクライアントが気づきを得るきっかけになりますが、同じフィードバックをされても、クライアントが効果的に活用できる場合とそうでない場合があります。特にクライアントが「フィードバック=評価」と認識している場合、コーチが「フィードバックをします」と言っただけで「何か良くないところを指摘されるのかもしれない」と身構えてしまう場合があります。コーチが「今の内容を話すときだけ『◯◯かもしれない』という語尾になっていましたね」とフィードバックした場合、「曖昧に話すのは良くないと指摘された」とクライアントが受け取り、それ以降は考えがまとまっていないことを話すのを躊躇するようになってしまうこともあります。上司が部下とのコーチングで感じたことをフィードバックとしてそのまま伝えたつもりでも、部下は「改善を求められている」と受け取ってしまう場合もあります。フィードバックは「事実を伝えること」であり、課題を指摘することでもそれについて良い悪いといった評価をすることでもありません。フィードバックをする側/される側でフィードバックの共通認識を持つことが、フィードバックが機能する前提になります。特にお互いの信頼関係がない中でフィードバックをすると、相手は指摘や批判として受け止めやすいので注意します。フィードバックをする側は、強制感を持たせない、指摘・命令として聞こえないように言い方に気をつけるなどの工夫が必要です。また、フィードバックを受ける側も「ポジティブな評価をされた」、「ネガティブな指摘をされた」と決め付けず、「そう受け取られたのは自分が相手にどう見えているからだろうか」、「それ(フィードバックを受けた内容)について自分はどう考えていけばよいのか」と自分の現在地や方向性を確認するツールとして捉えることが必要です。特に主観的事実については、あくまで相手が感じたことであり、フィードバックを受けてそれについてどう選択をしていくかを決めるのはクライアント自身です。フィードバックをされた時に嫌な顔をしたり、言い訳や弁明をしたりすると、相手は「もうこの人にはフィードバックをしたくない」と思い、今後一切フィードバックをしなくなることもあります。しかし、フィードバックをされなくなると自分を客観的に見ることができなくなり、結果として独りよがりになってしまいます。フィードバックをされたら、まず相手にフィードバックをしてくれたお礼を伝えます。その上で、客観的事実と主観的事実を切り分けて受け止め、どのようにフィードバックを活用していくかを自ら選択していくことが重要です。
フィードバックのポイント
フィードバックをする側/される側に必要なこと
- フィードバックに対するイメージや意識の確認・共有ができている
- クライアントとコーチの間に信頼関係ができている
- クライアントがフィードバックを受け取る準備ができている(フィードバックをしても良いか事前に確認をしている)
フィードバックをする側に必要なこと
- クライアントの目標に向けて現在地や方向性を伝えている
- 強制・指示命令として伝えず、フラットに伝えている
フィードバックをされる側に必要なこと
- フィードバックされた内容に言い訳や弁明をせず、まずお礼を伝える
- フィードバックの内容についてどう活用していくかを自ら選択している
コーチにとってもフィードバックを受けることは重要:Real Coach Report vol.2 重要なのはフィードバックを受けること