コーチングにおいてコーチが用いる重要なスキルの一つに「フィードバック」があります。2013年TEDに登壇したビル・ゲイツも「We all need people who will give us feedback. That’s how we improve.(全ての人にフィードバックをしてくれる人が必要。)」と話しています。なぜ、フィードバックが重要なのでしょうか。コーチングにおけるフィードバックとはどのようなものか、なぜフィードバックは重要か、フィードバックを効果的に活用する方法についてご紹介します。
1.コーチングにおけるフィードバックとは
フィードバックという言葉は、「親鳥があげた食べ物(feed)を雛鳥が食べずにそのまま返してしまう(back)様子」を表しています。それが「出力(結果)を入力(原因)に側に戻す作業」を指し示す電気回路についての専門用語として、また「砲弾の着弾点が目標からどのくらい外れているかを射手に伝える」という意味の軍事用語としても使われるようになりました。現在ではビジネスシーンでもフィードバックという言葉が様々な意味で使われています。
一般的に使われているフィードバック
- 上司からのフィードバック:アドバイス
- 資料についてのフィードバック:チェック・指摘
- お客さまからのフィードバック:苦情・要望・感謝
- フィードバック面談:評価
コーチングにおけるフィードバックは「事実を伝える」ことです。事実には客観的事実と主観的事実の二種類があります。客観的事実は受け手側の立場や考え方にとらわれず判断できる事象です。「相手が話しているときにうなずいている」ということは誰もが客観的に判断できる事柄ですし、「『やらなければならない』という言葉を使っている」、「原稿から一度も目を上げなかった」というのも客観的事実です。一方で主観的事実は受け手の感じ方や物の見方を通して捉えられたものです。「話を熱心に聞いているように見える」「他にやりたいことがあるように聞こえる」「自信がないように伝わってくる」というのはあくまで受け手側の印象によるもので、主観的事実にあたります。
最近では人事評価を伝える面談の際、目標に向けた行動を促すためにコーチングの手法を活用する企業も増えていることから、フィードバックと評価はほぼ同じ意味に捉えられている場合も多くあります。しかしコーチングではコーチが捉えた客観的事実・主観的事実をクライアントにそのまま伝える行為をフィードバックと呼んでいます。