Real Coach Report vol.1 コーチングは漢方薬のようなもの

今回は、国際コーチ連盟(ICF) マスターコーチであり、コーチングが日本に持ち込まれた時期からプロコーチとして活躍されている近藤真樹さんにお話を伺いました。

リーダーとしてコーチをつける、60代以降の人生を考えるためにコーチをつける

-どのような方がどういった目的でコーチを利用していますか。
コーチをつける方は、経営者など組織の中でリーダーシップを取ることが必要とされる立場の方が多いです。例えば私のクライアントは、経営者に加えてドクターも多くいらっしゃいます。開業医であれば当然リーダーとして組織を牽引する立場ですし、勤務医であってもリーダーシップをとらなければならない場面は多くあります。様々な場面で、リーダーとして、経営者として、毅然とした態度を取らなければならないことも求められます。しかし実際には人間ですから、気に障る部下もいるし、リストラした社員のことが全く気にならない訳ではありません。急激な社会の変化にも対応していかなくてはならないし、不安になることも実はたくさんあります。しかし、それを率直に話すと周りも不安にさせてしまったり、コンプライアンスも厳しい昨今、家族など身近な人に話すことも難しい状況です。コーチングは、普段忙しくて自分のことはいつも後回しにしてしまう方々が、周囲の人の反応を気にせずに自由に話をすることができる時間です。「この1ヶ月でこういうことを考えた」「実はこういうことをやりたいと思っている」ということを自由に話せます。愚痴を言うこともあります。感じていることを言葉にしないで抑圧していると、それが残ってなんとなくイライラした感じに陥ることがあります。言葉にすることで感情のマネジメントをしていくことができます。
ここ数年位ですが、自分の次のステップのためにコーチをつける50代の男性が増えています。60代で役職定年になると、会社にいてもかつての部下が自分の上司になり、お給料も大きく減ってしまう。でも仕事はしたいと思っている。そんな中で自分がどこで何をしていくのか40代から考え始めている方もいます。セカンドキャリアについて考えている方々がコーチをつけて、50代、60代以降のキャリアや生き方について模索しています。
しかし中には50代を過ぎ頭が固くなってしまっている方もいて、「辞めたらぜひうちで働いてくださいね。うちと取引してくださいね」と取引先に言われる言葉を鵜呑みにしてしまい、実際退職してからうまくいかない方もいます。先方の評価は所属している会社に対してのことであって、自分個人に対してではないということも多々あるのです。大手企業の傘下に入らずに自分がどうしていくかを前々からシビアに考えている方のほうが結果的にうまくいっています。