フィードバックはなぜ重要なのか

2.なぜフィードバックは重要か

「事実を伝えること」はなぜコーチングにおいて重要なのでしょうか。コーチングはクライアントが自発的に目標を達成する支援を行うことを目的としています。目標に向かうためには自分自身の現在地や向かっている方向を確認することが必要です。しかし、私たちは自分の思考や行動の癖はよく見えないものです。目標達成に向けて高い意欲がありながらも心の奥に気がかりがあり、アクセルとブレーキを同時に踏みながら進もうとしているような場合もありますし、組織を牽引するようなリーダーシップを発揮したいと思っているものの、実際には部下がやる気をなくしてしまうような関わりをしてしまっている場合もあります。現状に対する認識や取り組みの方向性がずれていると、目標に向けて行動しようとしても上手くいかない、まったく違う方向に進んでしまうといったことが起こってしまいます。
コーチはクライアントが使っている言葉や声のトーン、表情をはじめ外見的に捉えられるものに加えて、そこから感じる印象や周囲に対する影響などをクライアントに伝えます。客観的事実や主観的事実を知ることにより、クライアントは鏡に映すように自分の現在地や方向性を確認し、目標達成に向けてより効果的な選択をしていくことができるようになります。時にはコーチが感じた「この話をするときは他の話をしているときよりも生き生きとしているように感じる」と言った主観的かつ感覚的なことをフィードバックすることが、クライアントが自分では気づいていない自分の考えや感情に気づくことにつながります。