Real Coach Report vol.1 コーチングは漢方薬のようなもの

コーチングは螺旋階段のようなもの

-実際のセッションはどのように進んでいくのでしょうか。
コーチングは螺旋階段のようなものだと思っています。日々階段を上がってきて、踊り場がコーチングセッションです。上がってきた階段について振り返って、現在の視点から見てどう思うか、何をどんな意図でされてきたかを伺います。話しをしたことから、実は自分がは部下との何気ない会話から様々な刺激を受けていたことに気づく方もいます。自分に対する気づきが起こり、自分の実体験の出来事を通して、よりご自身への認識を深めていかれます。さらに未来に向かってどんなふうにこの階段を登っていきますか?ということもお尋ねします。階段の遥か先、長期目標について話す方もいれば、目の前の一段一段、目下のことを話したいという方もいます。その時その時、クライアントが立てた次の目標に向かって話をしていきます。例えば、経営者の方が重要な会合を開く際に「何の為に、どういう意図で、誰にリーダーシップを取ってもおらうか」「何を一番持って帰ってもらいたいか」「誰がどんなことを伝えると効果的か」等、予め質問して頭を整理してもらい、シュミレーションをして実際に話してもらうこともあります。
大学の教授が学会での発表の前に「この章ではこんなことを話したいんだよね」とコーチングのセッションで整理をすることもあります。言葉が曖昧になったりなんとなく詰まったりすると「この章で言葉が詰まっていましたけど、これについてはいかがでしょうか?」とお尋ねし、そうすると「それはまだ文献検索が十分ではないんだよね」と、クライアントが自分の現状を確認することに繋がります。コーチは医療や研究の専門知識はありませんが、声の雰囲気や言葉が人にどう伝わっていくかについてはプロフェッショナルとしてフィードバックさせて頂きます。
おおまかな方向性は、コーチングスタート時のオリエンテーションでゴールとして扱っているので、あとはそこに向かう環境を日常生活の中でいかに効果的につくっていくかというイメージです。環境さえ作ってしまえば、意外とスムーズにゴールに向かっていくこともできます。そのための環境づくりをひとつひとつ行なっていきます。仕事やお金、自分の健康、家族との関係、ある程度の年齢の方は自分の親のことなど、気がかりになることはとてもたくさんあります。自分自身の土台となる自己基盤を整えながらゴールに向かう環境をつくっていけるよう、実際のコーチングセッションでは様々な話題を扱っています。人は自分の成長にはなかなか気づくことができません。前と同じようなところにいるように思えても実際には螺旋階段のように登っていっているのです。「以前だったらこんなことがあったら気にされていましたよね。でも今は違いますね」とコーチが客観的な変化を伝えることで、クライアントはそのとき自分の成長や成果を確認することもできます。