今回は、株式会社FLATBOYS 代表取締役CEO 内田 遼さんに、起業の経緯やパーソナライズ入浴剤「DAY TWO」へ込められた想いをインタビューしました。
「起業しても死にはしない」
起業することは、大学生の頃から決めていました。
高校では空手でインターハイまで行き充実した生活を送っていましたが、大学に入ったら夢や目標がなくなってしまい、何か夢中になれるものを探していたんです。
長期インターンとして関わっていた企業で、某大手SNS運営企業の経営会議に参加して議事録を書くという仕事がありました。専門用語が飛び交い、何が話されているのか全くキャッチアップできなかったのですが、当時誰もが使っていたSNSの裏側を覗けた気分でとても面白かったのを覚えています。私も提供側に回りたいと強く思いました。
その頃は「ホリエモン」こと堀江貴文さんがメディアでよく取り上げられたり、サイバーエージェントの上場が話題になったりとIT起業家の露出が目立っていて、若くてもこうして活躍できるのかと夢を抱いたのです。IT系の会社で起業すると心に決めました。
大学を出てからは3社ほど、スタートアップを経験しました。
どの会社でもスモールチームにアサインされ、自分で予算を組んで動かしていく中で、世の中にありそうでなかったものを作る楽しさを実感しました。もちろん失敗もありました。2社目ではユーザーファーストが行き過ぎてしまった結果、事業売却せざるを得なくなり、ユーザーをも失ってしまう苦い経験もしました。
こうした経験を積み重ねていくうち、起業してもあまり変わらないなと思うようになりました。自分にもできそうだと思いましたし、「起業しても死にはしないだろう」と思い独立を決心しました。
パーソナライズ入浴剤「DAYTWO」誕生と現在
これまで女性向けファッションメディアの立ち上げなどに多く携わっていたことから、女性の日常的な悩みを解決する事業を考えました。妻がPMSで悩んでいたこともあり、当初は月経カップを商材として検討したのですが、様々な制約があり断念。ただ、検討する中でヒアリングに協力してくれたPMSに悩む女性の多くが、体を温めるために入浴していることを知りました。それが「DAY TWO」の入浴剤を開発するきっかけになっています。
私もお風呂に浸かる習慣があったので、入浴剤はよく使っていました。前職で上司から詰められたり上手くいかなかったりしたとき、お風呂に浸かると気分が切り替わるんですよ(笑)。私にとって入浴はセルフケアツールだったんですよね。
妻をはじめとする女性のPMSを解決するだけでなく、男性も含めて気分を切り替えていくためのセルフケアツールとして入浴剤に注目しました。汗をかきたいとか、ぐっすり眠りたいとか、私のように気分を切り替えたいとか、人によって入浴の目的は様々ですよね。そこで、一人一人のニーズに応えるパーソナライズな入浴剤があったら面白いのではないかと思いました。LINEで簡単なアンケートに答えてもらうと、1000種類の組み合わせの中から自分にあった入浴剤を提案されて、それを購入できるという仕組みを考えました。これが、パーソナライズ入浴剤「DAY TWO」です。
「DAY TWO」をリリースするまでの過程は、順風満帆とはいきませんでした。製造業を初めて経験し、自分でコントロールできる範囲が非常に狭いと感じました。たった一つの商品を作るだけでもステークホルダーが非常に多いし、卸のルールがあったり、規定上作りたいものが作れなかったりと窮屈な想いもしました。
そういった障害を一つひとつ乗り越えて、何とか作りあげたものを買ってもらい、使ってもらった時の嬉しさは何物にも代えがたいものがあります。
「汗がめっちゃ出てサウナみたい!」、「重曹を混ぜると肌がツルツルになって美容液みたい!」、「アトピーの子どもがいても使えた!」など、お客様から頂戴した言葉は私の宝物であり、原動力になっています。世の中に送りだしたらすぐに反応がある手触り感のある仕事で、やりがいを感じています。
今後も「セルフケア」をキーワードに、「明日も頑張ろう!」と気持ちを切り替えられるような商品を開発していきたいと考えています。セルフケアは、習慣が一番重要ですよね。日々の習慣に入り込み、習慣が変わることで結果が変わる、そんな商品の開発を目指していきます。
内田 遼
ネイティブアプリ事業を行う株式会社Nagisaにてファッションメディア「SHERYL」の事業責任者としてメディアの立ち上げからグロース・事業売却までを推進。大手企業のブランディング施策などを手掛ける。その後、ディープラーニングのソリューションを提供するLeapMind株式会社にて全社のマーケティング・PRや新規ソリューションのサービスグロースに従事。2019年にFLATBOYSを創業。自らの経験を活かし、ブランド・マーケティングドリブンのD2Cセルフケアブランド「DAY TWO」を立ち上げる。