人生は一度だけ。だから働いている時間を楽しいと言えるような社会に【上林周平さんインタビュー】

今回は株式会社NEWONEの代表取締役でいらっしゃる上林周平さんに目指すべき働き方、そのために社会があるべき姿についてお伺いした内容をお届けします。

充実した人生を歩めるような社会にする

――今の事業を始めるまでにどのような経緯があったのですか。

最初に勤めた会社はアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)です。当時掲げられていた「この会社に3年いると他の会社の10年分成長できます」というキャッチフレーズに惹かれて入社しました。

色々な企業のコンサルティングをしている中、社会人3年目くらいの時に、風土というのはなかなか変わらなくて、本当に組織を変えようと思ったら人の意識を変えないといけないと思うようになりました。

またその頃、一番下の弟が1年間闘病した結果、病気で亡くなるという経験をしました。そのときに人生は1回しかないということをすごく感じました。一方で社会人の方にインタビューをすると、仕事が面白くない、時間をつぶしたいと言っている人が多数いました。

かたや、もっと生きたいのに時間がない人もいる。人生1回しかないのに時間をつぶしたいと思っているのはもったいない。人生1回しかないのだから充実した人生を歩めるような社会にしたい。生きている時間の大半が働いているのだから、働いている時間を楽しいと言えるような社会にしたいなと思いました。

それで教育や人材に関する事業をやろうとしている先輩がやっている会社に入りました。そこで人材育成事業を立ち上げて、15年間、様々な企業に対して、新人から管理職・経営者まで、研修のような感じで人材育成に携わってきました。そこでは企業の中に居続ける前提の企業研修をやってきましたが、それが果たして正しいのかという葛藤もありました。企業の中で活躍するのもありだけど、やらねばならないということを押し付ける研修というのはどうなのかなと。

そんな中、働き方改革が進み、個人が会社に合わせるという感覚ではなく、個人が会社を選べるようになって、個人と会社が対等になりつつあるというのを肌で感じるようになりました。そこで、働き方改革を上手く活用して個人と組織の在り方を変えていくことによって、イキイキと働ける人が増えたらいいなと思ったのが、今の会社を作って新たに人材開発や組織開発を始めたきっかけでした。

――現在、特にどのようなことに力を入れていますか?

育成という言葉も、できることを下の人たちに「教える」は良いけれども、例えば「主体性を育成する」って、日本語的にはおかしいと思っていて。本来的に成長って自分が意識してやるものですよね。働き方もそう。世の中のいたるところで「やらなきゃいけないからやろう」となっているけど、本人が体験を通じて必要だなと思わないと自発的にはなりません。

弊社サービスの一つである働き方改革ゲームというのは、リモートワークや残業抑制など色々な施策について、やらなきゃいけないからやるのではなく、個々の施策をすると魅力的な組織になっていくのだということを実体験していくことができるゲームです。実際に働き方改革ゲームを体験した方からは、「会社がこれからどういう組織であるべきだと思いますか」とか、「会社として一番何をやるべきだと思いますか」という問いかけに対してすごく質のいい答えが返ってくるようになります。ゲームを通して経営側の立場に立ってみると見え方が変わると言うか、会社を主語にして、何をやるべきなのか、どんな会社のほうが理想なのかなと考えるようになり、そこから自分はどんな働き方をしたいのかにアンテナが向き始めるという変化が起こる。

人が変わるというのは、もともとの大きな見え方が変わることだと思うんです。こうだと思っていたことが全然違うのだと気づくことで人は変わるし成長していく。自分が見ている世界観のままでは、研修をしてもなかなか変わりきれなくて、逆の立場から実践をしてみることで見え方が変わる、そんな仕掛けを作っています。

これからより人材が流動化していく社会になると思っているけれど、そうはいってもその会社にいるときはその会社のことを主語で喋れるというのが仕事の充実感じゃないかと思っています。このゲームが広がることで、そんな風に充実感を感じる人が増えてくる。そしてフリーランスの方にとっては、改めて働き方とは何かを考え、どういう風に自分は生きていこうかなと考える機会になるのでは思っています。