処理型人間から抜け出そう


仕事に慣れたり、人よりうまくできるようになったり、周りから「できる」と言われる人ほどはまりやすいのが、「処理型人間」の罠です。

できる人は大抵、うまくいくやり方を型(パターン)として持っているものです。
このやり方をいち早く見つけることで若手の頃なら周りから頭一つ抜けて、目覚ましい成長を遂げて周りから評価されることができます。ただし、一度作った型は次の階層・役職では通用しないため、新たな型作りをし続けることで継続的に成長していくことができるのです。

ところが組織の序列を駆け上がった結果、部長・役員などとなってくると、自ら新たな型を作る必然性や外圧がなくなり、自身に対する期待や役割も固定化(実際には長期的でより大きな成果を出す役割に変化)してくるため、それまで「型」を作り続けてきたハイパフォーマーだったとしても、いつしか既存の役割の中でルールに沿った手続き・処理をこなす受け身な中間管理職に陥ってしまうことがあります。

この傾向は、昨今のコロナ禍の環境において目立っているようにみえます。
リモートワークの場合、連続的に打合せに入り続けることも多く、受け身的な自分に気づきつつも、立て直しをする時間もとれず次の打合せがまた始まってしまう、と苦しんでいる声も耳にします。

ここで海外にも幅広く展開する大手企業の部長で、以前は深夜まで会社に残って仕事することも多かった男性を例に紹介します。

この方は多忙な業務に加え、プライベートでは小さなお子さんを抱えていることから家族をケアする必要性もありながら、これまではうまく時間をやりくりすることができていました。
傍目からみても時間の使い方や難しい業務であったのですが難なくこなしてきた部長でしたが、今回のコロナ禍になって自分が対処すべき課題や、優先すべき事項が見えなくなってしまった、と言います。

部下とのコミュニケーション時間が足りないわけでなく、むしろ社内制度の後押しもあって1on1など定期的に時間を設けて情報共有をするようにしており、起きている問題には時間内に対処できています。
一方で、部下との情報共有がタイムリーにされればされるほど、自分が本質的に取り組むべき課題や長期的に取り組むべき課題は何か、そもそも自身がやるべきことは何かを明確にしたり、思考を巡らす時間を確保できなくなってきたと感じていました。

このことはリモートでの働き方が、無駄(とみられていた時間)を省いてしまうことに起因していると考えられます。

これまではオフィスで働きながら、一見無駄と思われる移動時間や部下との雑談の中で、物事を把握したり、整理してリスクや重要度を考える時間になっていたのですが、リモートワークで移動もおしゃべりもなくなって、打合せが1日に2桁入り続けるなどの生産性の高い働き方をすることになっています。

こうした時間の使い方では、内省しながら思索を巡らせたり、中長期に向けたキャリアを考える時間を取りづらくし、その結果、短期的で必要だと思われることを優先して、本質的に取り組むべきことを明確にならず後回しにしてしまうのです。

処理型人間から抜け出す4つのポイント
  1. インプットを取りすぎない
  2. 五感を使って、ロジカル以外の行動を起こす
  3. 10分以上のプレゼンテーションを作る
  4. 運用と戦略を区切る

それでは次に具体的なやり方を見ていきたいと思います

1.インプットを取りすぎない

スマホ1つあれば様々な情報が手に入るようになっています。
またリモート化で企業が進めたコミュニケーションのオンライン化によって、部下からの報告やレポート類は以前以上に多くみることができるようなってきています。
状況を正しく把握することは必要ですが、取り過ぎてしまうことで自分の考えをまとめる時間が少なくなってしまいます。
情報のフロー化の一部になってしまうと、自分の付加価値が付けづらくなるため、情報はストック化することを心掛けてみてください。
11時~14時は、追加情報を取るのを止めて、スマホやPCのアラートも表示させないようにする「ブラックアウト」時間としてみることも有効です。お使いのPC環境によっては自分だけが作業する時間も打合せのようにスケジュール登録しておくことで、こうしたアラート類を表示することを防ぐことができます。
11時~14時であれば、事前事後に社内外の方とコミュニケーションすることができているはずなので、その間は打合せや外出をしていると思って、あなた自身のことに集中するようにしてみてはいかがでしょうか。

2.五感を使って、ロジカル以外の行動を起こす

自分の中の「型」というのは、考え方、根底にある価値観、成功体験などによって作られており、その成功体験が高いほど(つまり既に企業内でも上位の役職である方ほど)、持っている型から抜け出しにくくなっています。
ロジカルに網羅的に考えていると思っていても、そのロジカルなツリーを作る手法がいつもの「型」だったりするので、良くも悪くもブレることが少ないです。
そこから抜け出すためには、考えるのではなく感じることが挙げられます。
頭脳以外の五感を使うことで、ロジカルではなく、あなた自身の主観・本能から感じ取られることや、アイデアを出すことが期待されます。
例えばいつもはPCを使うところを、手書きで書いてみる(それも5ミリ方眼紙や、レポート用紙ではない無地の紙などに)とか、黙読していたレポートをスマホの読み上げ機能で耳から聞いてみるとか、オフィスの空調の効いた部屋から出て外の空気を吸いながら考えてみるとか、外界と自分の繋がりを感じること、感じたことを感性として口にしてみること、時には楽器の音色に耳を傾けてみることで、アートなあなたが語り始めてくれることでしょう。

3.10分以上のプレゼンテーションを作る

処理や受け身な状態に陥ってしまうと、アウトプットが少なくなってしまいます。そのことに気づいてしまうと、出涸らし・バーンアウトのように感じて気分も落ち込んでしまいがちです。それでも新たなインプットがない状態のままで、今の自分が何を考え何を伝えられるのか、10分間話をする準備をしてみましょう。

話す相手は誰でも構いません。同僚、部下、上司、家族など、ブログやYouTubeなども表現先となるでしょう。言語化しづらかったり、ロジカルではないなどの理由で、自分の中にしまい込んでいるようなことを、誰かに伝えることで認知し直すきっかけになります。
また、古くなったとはいえ、あなたが若手の頃に積んだ成功体験は、人によっては今必要としている内容かもしれません。
誰かに伝えるという行為を通して、あなた自身がこれまで、そしてこれからも処理だけするための存在ではないと思い直してみてください。

4.運用と戦略を区切る

戦略というのは、「戦いを略する」と書くとおり、どこの陣地を取ることが戦わずして勝てるかを、俯瞰的な目線で見極めをするということです。
運用していくには否が応でも日々の仕事をこなす必要があり、目先のことに目線を合わせることになりますが、それだけでは処理型人間のループから抜けられません。

運用と戦略を区切るということは、こうした視点の切り替えをしっかりと持つ意味があり、
この考え方は自社に残るか・転職をするかを考える際にも適用ができます。

昇進を続けていくと、段々と自分の役割や次の昇進への道が狭くなってくるのを感じることもあるのではないでしょうか。戦略視点を持つことで、このまま社内にいることで自分のスキルやキャリアを有効に使えるのか、今のスキルに特化しすぎることを止めて選択肢を広げておくことがよいのか、戦略視点から見直してみることで、現状の立場や役職に窮することなく、常に複数の選択肢をもっていることができるようになります。

処理型人間は、成熟していく社会におけるビジネスパーソンにとってよくありがちな姿ではないでしょうか。処理型人間からうまく抜け出すためにも、4つのポイントを参考にしてみてください。