短い労働時間で高い生産性を保つ
ドイツの働き方

近年日本で問題となっている、生産年齢人口の減少による労働力不足。その解消のため、「働き方改革」が2016年より始められました。「働き方改革」実現に向けた課題の一つである長時間労働を減らすため、法改正や様々な施策が進められています。しかし、今のところ長時間労働は完全に改善されていません。管理職は労働時間がさらに長くなったとも言われています。他の国ではどのような働き方をしているのでしょうか。

労働時間の短い国の一つに、ドイツが挙げられます。ドイツの労働時間はどのくらいで、それはどうやって実現されているのでしょうか。ドイツの働き方の現状をご紹介します。

1.ドイツの労働者の労働時間と労働生産性

ドイツでは7月から8月にかけての夏の休暇の時期はもちろんのこと、寒さの厳しい時期、イースターの前後など、多くの人が年に数回長期の休暇を取ります。一般企業をはじめ、役所に勤めている人や学校の先生も、2週間から3週間の休みを取ることは珍しくありません。
経済協力開発機構(OECD)の調査(2017年)によると、日本の労働者の年間労働時間は1713時間、ドイツは1363時間。その差は350時間あり、年間200時間と推定される日本のサービス残業を含めるとその差はさらに大きくなります。

1人の労働者が1時間にどのくらいのモノやサービスを生み出したかを示す指標である労働生産性を見てみると、OECD加盟35カ国の中で日本は20位、主要先進7カ国(G7)の中では最下位となっています。日本労働生産性は41.6ドルに対しドイツの労働生産性は60.5ドル。つまり、ドイツの労働者の労働生産性は日本の約1.5倍高く、1人当たりGDPも年間の労働時間が短いにも関わらずドイツは日本より27%高いという結果になっています。