コーチングを通じて、心技体を整える


今回は、総合商社でご活躍中の引網康暁さんに、オンライン・コーチングmyPeconを利用したきっかけやセッションの活用方法についてインタビューさせていただきました。

 

「コーチング=自分とは遠い世界」からスタート

―myPeconでコーチをつけたきっかけを教えて下さい。
コーチングに関しては、部下育成のキーワードとして認識していましたが、私がこれまで長い社会人生活の中で大事にしてきたビジネスの価値観とは異質のものと思い、正直なところ、遠い世界の話としてとらえていました。
会社の派遣で参加した海外のビジネススクールIMDが提供するリーダーシッププログラムの1コンテンツにコーチングがあり、スイス在住のアメリカ人コーチから2回だけコーチを受けたこともありましたが、特に感情を共有する上で言語の壁も感じてしまい、継続には至りませんでした。

 

コーチを付ける転機となったのは、今年2月、新型コロナウイルスが流行し始めた頃に異動と昇進を同時に経験したことです。上司や部下はもちろん、業務内容が大きく変わる中で、更にそれを在宅勤務でこなすというチャレンジに直面しました。3カ月程度は勢いで走り続けることができたものの、気づくと精神的にも負荷がかかりはじめ、業務でエラーが散見されるようになりました。その原因を考えても、新たな変数が多すぎて真因を見つけることができず、「昔の自分だったらこんなことは起きなかったのに」、「他の人ならできたのではないか」など自責の念に駆られ、自信を無くしていました。

 

ある時、何気なく見ていたテレビでプロゴルファーの宮里藍さんが、現役時代に心技体を整えるためにメンタルコーチを付けていたことを知りました。宮里さんのような「超一流」の人でもコーチを付けるのだから、自分もコーチの力添えを得て自らを客観視してみたいと思い、早速コーチングに申し込みました。

 

パフォーマンスを発揮するには“ジブン”を整えることから

実際コーチを付けて気づいたことは、これまでの私の会社員人生は、自分の知見や経験、人脈に基づき、事業や数字などの“コト”に向き合うばかりで、 その土台(ファウンデーション)となる“ジブン”という存在に目を向けることが少なかったということです。本来は、自分という土台を整えることが重要なわけですが、自分の心技体を整えるという発想自体が抜け落ちていましたね。まして、自分の強みなどは、就職活動の一環で自己分析を行って以来、何十年も考えてきませんでした。青臭いかもしれませんが、自分はどういう思考の癖を持っているか、強みや弱み、人生で大事にしていることは何か。自分という素材を深く理解していなければ素材の活かし方もわからず、絞り出すように無理くりパフォーマンスを上げようとすることになります。これを続けた結果、ストレスがかかってしまう。業務でエラーが起きたのは一つのアラートだったのかもしれません。

 

コーチングはキャリアを積んだ人のトランジション

私にとってコーチングは、キャリアを一定程度積んできた人間が自分と向き合い、パフォーマンスを上げるための自分の再定義を行うトランジションのプロセスです。隔週金曜日20時にセッションの予約をいれて、自分自身の定点観測の時間としています。一般的なコーチングでは、何ヶ月後にどうなりたいかなどの目標設定を行いますが、私の場合は敢えて設定していません。今までの価値観にこだわった目標を設定しても、これまでの陥りがちなパターンになってしまいますから。ずっと向き合うべき長期的なものとしてとらえています。

 

セッションは、コーチングを「受けている」というよりも、自分から幽体離脱してコーチと一緒に上から眺める感覚です。「この人(自分)、どうやって料理しましょうか」、「誰と会わせたら面白いですかね?」、「どんな本を読めばもっとパワーアップしそうですか」といった具合で、自分で自分を取材している感覚にも近いです。コーチと共に、起きていることや自分の状態を観察し、仮説を立てて、リアルの業務で検証。符合することがあればそれをコーチに報告してまた対策を立てる。このサイクルを続けたことで自分を客観視できるようになり、部下からのフィードバックも素直に受け入れられるようになりました。最近、私が改善すべきことを部下にフィードバックしてもらう取り組みを始めたのですが、自分のケーススタディーを増やす感覚で、たとえ耳の痛いことでも「いいことを聞いた」、「面白いことを聞けた」と思えるのです。以前なら、「お前だって」と憤慨していたと思いますよ(笑)。

 

コーチングのプロセスを通じて、「僕は良くなっている」と日々感じられています。まだ途上だけれども日々良くなっているのは間違いない。これは、今までになかった感覚です。自分で自分のことを承認できないと、他人に承認してもらいたいと思ってしまいますよね。その結果、周囲からの期待を自分で勝手に高く設定して、他人基準の物差しで自分を測ってしまう。結果、心技体ともに苦しくなってしまうわけですが、自分がそういう状態に陥っていることすら自力では気づけないんですよね。自分自身と向き合っていないのですから。

 

コーチングは凄く新鮮なプロセスで、社会人人生で初めて自分と向き合い、徹底的に観察し考えることで真の自分を発見したし、自己受容もできるようになり、心技体が整いつつあります。私自身、このプロセスを更に積み重ねるとどうなるのか楽しみにしています。コーチングは、自分のこれまでのキャリアを振り返ったり、将来のビジョンを考えていったりするのに必須だと感じています。

 

今はまだトランジション中ですが、きちんと自分で自分を承認していくことで自律型人材に変革している実感があります。コーチは自分を映してくれるミラーであり、仲間。継続すること、定点観測することに意味があると考えていますので、これからもこのプロセスを楽しんでいきたいと考えています。

 

コーチを体験してみる