プロフェッショナルのパフォーマンス・コンディショニング術 【後編】小池彩夏さん

プロになっても先生を付け続ける

−いい演奏というのはどんな演奏ですか?

どういう演奏なんだろう。私は研究者ではないから偉そうな事は言えないですけどね。好みにもよるというとこはあるかもしれないけど…それは、「美しいとはなんですか」って聞かれているようなものかもしれない。「美しいとは」ていう話になるとすごく哲学的になると思うんだけど、なんかそれと一緒な気がするな。なんだろう、こうやりたいみたいなのが伝わってくる演奏ですかね。この作曲家はこういう弾き方とかこの時代はこういう楽器だったとか色々な研究があって楽譜の解釈も研究されている。だからそれに沿った演奏が多分一番いい演奏だと思う。自分のことで考えると、お客さんが喜んでくれたときが一番いい演奏だったかなとは思っているかな。

−そうか。話を聞いていると、プロから見ていい演奏と、お客さんにとっていい演奏は違うっていうことなのでしょうか。

あ、そうかもしれません。そうだと思う。何を良いとするかは人それぞれだと思うけど、お客さんとの距離が近い演奏会を多くしている中で「今日はよかったね」って言えるときは、会場の反応がすごく良いです。笑っている人がいたり、笑った後泣いている人もいたりするときかな。

−小池さんは今もピアノの先生をつけて学び続けていると聞きました。ピアノの世界では、先生は一生付けるものですか?

人によると思います。大人になってからレッスン受けてない人もいると思うんだけど、私はずっと勉強していたいなと思うから。多分、先生が良いからかな。勉強することが次々に出てくるし課題もいっぱいある。自分では出来ているつもりでも出来ていないところもいっぱいあるし、客観的に指導を入れてくれるとやっぱりすごく有難いから。