労働生産性を上げるフランス人の働き方、休み方に学ぶ

フランス人の労働生産性

OECD(経済協力開発機構)の2016年のデータによると、1時間当たりの労働生産性は日本が41.54ドルでOECD加盟諸国35か国の中で20位であるのに対し、フランスは59.11ドルで第9位となっています。1時間あたりの労働生産性はなんと日本の1.42倍なのです。

※GDP per hour worked

https://data.oecd.org/lprdty/gdp-per-hour-worked.htm

フランスでは、人の手を介すサービスには対価が生じるという考え方があります。1€(約126円)ほどのバゲットに少量のハムとチーズをはさむサービスが付加されるだけで価格は一気にあがります。また、同じ飲み物を頼んでもカウンターとテーブル席、テラス席、テイクアウトではそれぞれ異なる値段がつけられています。日本では当然のサービスとして無償化されているものに、フランスでは対価が発生しているのです。フランスでは、安くて美味しい、手ごろな値段だけれど良質、など「コスパがいい」ものにはなかなか出会えません。シャンゼリゼを中心に全国に広がった「黄色いベスト運動」と呼ばれる大規模デモが落ち着いたばかりですが、その他にも労働者としての権利を求めるためのデモやストライキは多く、生活に影響が出ることも多くあります。 24時間営業のコンビニやスーパーはありませんし、家の修理などにも時間がかかることがほとんどで、サービスの質や日常の便利さなどには疑問を持つことも多くあります一方で長期休暇と少ない労働時間が守られ、家族と過ごす時間や趣味に費やせる時間は十分にあります。日本人である私自身、最初のうちは不便を感じていたフランスの店の営業時間でさえ、いつでも何でも手に入る生活より多少の不便を感じながらも工夫する生活の方が健全だと感じるようになりました。いつでも何でも手に入るような便利さの裏には、24時間体制の労働力があるという当たり前の現実について、改めて気付いたのです。

  フランス人はONとOFFの切り分けを明確にすることで仕事とプライベートを両立し、メリハリをつけて仕事をしているように感じます。目標に向けての集中力や、判断力には驚かされることも多くあります。労働生産性を上げることは、働き方改革にもつながってくるのではないでしょうか。

2018年も残りわずか。日本での数少ない長期休暇である年末年始休暇目前となりました。労働生産性を向上させるために、あなたはどんな風に働き、どんな風に休暇を過ごしますか?労働生産性を向上させるための休み方について考えてみませんか?2018年の終わりに何を考えますか?

中井茉由子 Mayuko NAKAI

延世大学一般大学院 修士課程修了
専門学校教員として多国籍に亘る講師のマネジメントや
学生の育成に携わる中で、ティーチングとコーチング手法の掛け合わせに関心を持つ。
コーチングを通した人材開発に携わりたいとの想いから、コーチを志す。2018年8月よりフランス在住。国際コーチ連盟アソシエイト認定コーチ、(一財)生涯学習開発財団マスター認定コーチ