プロフェッショナルのパフォーマンス・コンディショニング術 【後編】小池彩夏さん

小さな成功体験の積み重ねが自信につながる

−お子さんにピアノを教えるときにはどんなことを工夫していますか?

子供達には常に一つの課題だけを伝えるようにしています。今日は手が下に落ちないようにとか。常にちょっとでもクリアできそうな小さな課題を出して、それが難しそうだったらすぐ別のものに転換して、じゃあこっちだったらどうって言いながらやっているかな。伝える言葉はシンプルに一つ。それが出来たらまた次っていうのを常に考えています。

−なんだか山にちょっとずつ登っている、そんな感じがしますね。

それは自分でもイメージしているかな。おこがましいかもしれないけど、子供にもちょっとずつ上手くなっているっていう感覚を与えてあげたい。小さな成功体験の積み重ねが自信につながるし。周りの皆からピアノ弾けるんだねって言われて嬉しいとか、何かに繋がってくれればなと思っています。

−ピアノだけじゃなくて小さいゴールや課題を達成するというプロセスが、お子さんたちの成長、教育になるんでしょうね。

毎回新しい曲ばっかりだと、当然弾けないところから始まるじゃないですか。そればかりだとやる気が起きないので、昔弾いていた曲を演奏をさせてみたりとかして。そうしたら、昔弾いてた曲ってすごく簡単なんだ、これだけ自分は進んでいるんだなっていう実感が得られます。常に課題と向き合うのは大変だから、楽しさも大切にしてるかな。

−昔の曲を弾いて「あ、これだけ自分成長したんだ」って思うと、「自分ってできているんだ、やれるんだ」っていう、自己効力感みたいなのも高まりそうですね。

そうなのかもしれない。私は未熟なのであまり大きなことを言うと恥ずかしいんだけど、子供たちのためにベストな方法とか、お客さんのために何が一番できるかなということは常に考えていますね。

小池彩夏 Ayaka Koike

1986年生まれ。国立音楽大学演奏学科(ピアノ)卒業。鹿児島県文化振興財団アーティストバンク登録アーティスト。現在、フリーのピアニストとして各地で演奏活動を行う他、後進の指導にあたっている。