各コーチングモデルの概要と特徴

4.オントロジカル・コーチング

オントロジカル・コーチングはチリの政治家・哲学者だったフェルナンド・フローレスを中心に1980年代に理論化されました。オントロジカル・コーチングはクライアントの在り方を重点的に扱います。また、在り方が変化するためには、精神と身体と感情がすべて連動して変化する必要があるという考えに基づき、クライアントの気分や感情、表情や体の姿勢についても扱います。クライアントの「心配事」(他のコーチングモデルでは「価値観」と呼ばれているもの)に注目し、心配事を生み出している状況に対応する手助けを行う過程で、クライアントが自分自身のより良い観察者となる手助けをしていきます。

5.ポジティブ心理学コーチング

ポジティブ心理学は、アブラハム・マズローの提唱した人間性心理学の流れを汲んでいます。人生をより充実したものにするための研究が行われており、幸福感を増やすことを重視しています。ポジティブ心理学を基礎に置いたコーチングは「本当の幸せコーチング」(AHC:Authentic Happiness Coaching)とも呼ばれ、幸せで充足感のある人をモデルに、「ポジティブな感情を増やす」ことを促します。ポジティブ心理学のコーチはクライアントが本来持っている強みを特定してそれを高め、生活や仕事に活用することを支援します。強みを基に行動しているときポジティブな感情が増えると考えられているためです。クライアントがそのとき取り組んでいることと一体化している感覚を持つ「フロー」の力を高めるのもポジティブ心理学コーチングの特徴です。