様々な初を経験しながら笑顔の奥に見える芯の強さと感謝の気持ちに心が思わず共鳴する、三橋さんとの30分。
―室橋さん、本日はインタビューをお受けいただきましてありがとうございます。まずはじめに、現在のお仕事内容をお教えください
はい、わたしはキャリア開発部長として採用と人財育成に取り組んでいます。
具体的に、「採用」は新卒採用とキャリア採用、そして「人財育成」は、人財育成の基本計画の策定、各職種別の教育体系の構築、経営層から新入社員までの研修運営等になります。研修に関しては、階層別・選択制・選抜制・自由な学びなど、研修体系を整備してきました。採用と人財育成はもともと人事部の業務でしたが、2022年4月にキャリア開発部が発足し、採用と人財育成の部分を切り離してキャリア開発部が担うことになりました。
―移管された背景は何かあるのでしょうか
安藤ハザマVISION2030において「イノベーションの加速による新たな価値を創造」を基本方針に、4つの価値創造「お客様価値の創造」「株主価値の創造」「環境価値の創造」「従業員価値の創造」を掲げています。そのうち、従業員価値の創造を強化する方針のもとキャリア開発部が発足した経緯があります。
―これまではどんなお仕事をされていらっしゃいましたか
事務職として入社してから38年半になるわけですけれども、26年間は一般職として勤務しておりました。国際部門・安全部門・土木部門・財務部門を経験し、総合職にならないか?というお話を受けて、一大決心をしてから、総合職になり13年目です。総合職に登用されたと同時に現場の事務支援を行う支店の管理部に異動し、その後、2度目の国際部門、2度目の財務部門を経て、2022年4月よりキャリア開発部で人事系の仕事をしています。
―キャリア開発部長という話を受けて、迷いはありませんでしたか
そうですね。
総合職の登用試験を受ける段階で、挑戦をしていくことについて覚悟をしていましたが、たいへん驚いた、というのが正直なところです。迷いというよりは、やってみるしかない、ということを考えました。
女性活躍という社会的背景もあり、キャリア開発部発足にともない、部長をという話を受けたのですが、人事の経験もありませんでしたので…。このことは、自分以上に周囲の方の驚きのほうが大きかったことと思います。
―総合職となったことで何か変化はありましたか
大きな変化でしたね。
登用と当時に、仕事内容にも大きな変化がありました。経験が不足しているという意味で、業務の負荷を感じることもありました。そこからは自分との戦いといいますか。最初の頃は他の人と比較したときに、足りないところを補完しなければいけないという気持ちが強く、行き詰まりを感じたりもしました。しかし、時間の経過とともに「今からできない経験」にこだわっても仕方がない、というように考えられるようになりました。不足する部分は、先輩や同僚、後輩に教えていただいたりすることで補っていけばよいというように、経験にこだわる気持ちが少しずつ薄れてきて、自分自身には何ができるのだろう、という気持ちに切り替えられた時に何かがすごく変わったなと思います。もちろん、苦しかったこともありますよ。無理もたくさんしました。自分に出来ることを見つけていこうと思えるようになれたときは、自分で作っていた壁が壊れていく感覚でしたね。
―変革されてからのご自身を楽しまれていますか
変革というとおおげさかもしれないですが、自分らしい形で目標に向かっていくと考えることができるようになれたことで気持ちが楽になりました。
一人一人違う、それでいいと自分自身が納得できたのと、それを伝えていけるといいなと思えたときに、リセットされたような感覚になって。やはり、ありのままがいいよねと思えるようになったんです。これまでのわたしはそうは思えていなかったところもあったところもあったので。
「日に新たに日に新たなり」という言葉のように、毎日新たな気持ちで新たな学びを続けていくことで、自分も成長し周りにもいい影響を及ぼすことが大切だ、と思っています。
―正直なところ、転職を考えた時期などはなかったですか
税務の資格を取得したときに、お声がけをいただいたこともあり、心が揺らぎそうになったこともありました。しかし、私が学びを深めたいと思ったのは、過去からの偉業を成し遂げられてきた先輩方への敬意から、何らかの形で自分なりに会社で役に立ちたいと思っていた原点に戻りました
もちろんそのときに総合職に登用ということがあるなど、考えてもいませんでしたが・・。
―これまでのご自身の積み重ねがそのチャンスにつながったのかな…とお話をお伺いしていて思ったのですが…これまでのお仕事の中で一番やりがいを感じた印象に残っている出来事はありますでしょうか
そうですね。やっぱり、一人でできる仕事って少ないと思うんですよね。
チームを組んでプロジェクトをやり遂げた時が最も嬉しいです。
印象深い出来事としては、わたしがキャリア開発部長として部を統括することになった初年度に人材育成の基本方針や教育計画の見直しを行ったのですが…特に人材育成の基本方針の見直しについては、本当にたくさんのいろいろな立場・職種の方々に協力いただき、策定していったんです。
それが形になった時は、嬉しいというよりも感謝の気持ちがあふれまして。とても幸せなことだなと感じられました。
―ご自身の成果だけでなく、関わってくださった方への感謝があふれる室橋さんのお人柄が素敵だなと思いました。きっと今のお仕事は女性ならではの難しさもあるかなと思うのですがその辺りはどうでしょうか
もう、何も感じなくなってきちゃいましたね!笑
会社としても、私をアサインすることは、大きな挑戦だったと思います。
そういう期待に少しでも応えるために、わたしができることが何かを考えて関わっていきたいなと思っています。社員一人一人が輝いていてほしいですよね。強みを生かして組織で活躍していく、そして組織が強くなって会社を通じて社会に貢献していけると、もっとたくさんの人が笑顔になる、そんなところまで繋げていけたらなと思っています。
思い起こせば自分自身が辛かったときに助けられたこともたくさんあります。それらの経験を忘れることなく、職場環境をつくっていきたいと思っています。わたしが変われたように、いろんな方に、「自分もできるかもしれない」と思って挑戦をしてもらえたら嬉しいなって。そういう象徴で在れたらいいなと。
きっと、過去のわたしが今のわたしがやっている仕事を知ったらすごく驚くと思います。ずっと誰かの役に立ちたいと思って仕事をしていた先がこんな風に変化していったのですから。
―今後の目標などはありますか
一人ひとりが輝いて働ける職場環境をつくっていきたいと思っています。会社の魅力を向上させ、さらに社会から必要とされる安藤ハザマにする、当社で働きたいという人が増え、会社が成長していくということにかかわっていきたいです。そのために、その根幹となる従業員のウェルビーイングの実現に努めることだと思います
当社は、黒部ダムやマレーシアのペトロナスツインタワーなどの施工実績にもあるように、国内外で幅広く挑戦をしてきた、本当にすごい会社なんですよ。技術面のみならず、社長が建設業界の中で最も従業員を大切にする会社にする、と発信をしていることも響くメッセージだと思います。
100年以上の歴史ある会社が2013年に合併して、さらに力を発揮していこうとしています。キャリア開発部が発足してから、人財育成にも一層力を入れていて、様々な研修プログラムを設けています。人財育成は、すぐに成果が出るものではない、正解や完成はない領域の仕事ですが、地味に取り組むことが大切である、将来のために今が大切と思って頑張っています。
―最後に室橋さんの今後の人生をどう過ごしていきたいかお教えください
ずっと思っているのは、社会貢献をすることにかかわり続けていきたいということです。
できることも求められることも年齢によって違ってくるところもあるとは思うのですが、可能性を広げて何等かのかたちで社会へ貢献し続けることができたら、自分の幸福度も高まると思っています。
そのための努力を継続していきたいですね。もちろん、日々を大事にして…ね。
室橋 光恵(むろはし みつえ)
株式会社安藤・間 経営戦略本部 キャリア開発部長。26年間にわたり一般職として勤務した後、総合職。同社で初めての女性の部長。現在、人材の確保や育成に取り組み、組織の成長に大きく貢献している。