全てを包み込んでくれそうな包容力と思わず頼ってしまいたくなる兄貴肌。鳥井さんの秘められた熱い想いに触れた30分
―本日はお時間、ありがとうございます。ではまず初めに、現在のお仕事をお教えいただけますでしょうか
今は、キャリアデザイン推進室というところで仕事をしております。去年の7月頃に出来たばかりの部署になります。社員の自律的なキャリア形成を支援していく、一言でいうとそんな部署ですね。
例えば、年代別研修やキャリア相談窓口、自分たちで動画作成なんかもやっています。
―ありがとうございます。いろいろと聞きたいことが出てきたのですが…、わたしも相談窓口がある会社に在籍していた経験もあるのですが、正直なところあまり使ってみる勇気がわかなかった記憶があるんです。なんか裏があるんじゃないかなって(笑)。御社では、結構、相談件数があるものなのでしょうか
設置して1年少し経ちますが、これまでで約850件くらいですかね。
―すごいですね!それらすべてに対応されているのでしょうか
まず、弊社にはダブルワークという仕組みがあります。いわゆる社内副業みたいな形ですがお金は発生しません。そこに手上げ式でキャリアコンサルタントの資格を持った方に参加いただいて対応していただいたり、社外のコンサルタントの方と提携したりしています。どちらに相談するかは自由に選べるようにしています。
―そもそも、何故そのような窓口を設置されたのでしょうか
もともと、今の部署がまだなかった時代にキャリア支援を会社として何かやっていかなければいけないというタイミングで異動してきたのですが、ちょうどその頃社員のエンゲージメント調査結果のキャリアに関する項目が少し低かったことや昨今話題になっているジョブ型人事制度の導入を翌年に控えていたこと等が関係しています。これまではCDP含めて会社主導で決めた配置先で成果を出す、というのが主流だったところから自らの力でキャリアをつかみ取っていくという形に変化していくということで、キャリアに悩んだり不安を感じる社員が多くでてくることが想定されたため、気軽に相談できる場所が必要だと考えました。
相談内容としては、キャリアの描き方や家庭と仕事の両立、漠然とした将来への不安やセカンドキャリアなどが多く、その必要性を日々感じています。
―現在の部署ではどのような働き方をされているのでしょうか
ダブルワークで参加してくれている方々がとにかく前向きなんです。志をもって参加してくれているのでどんどん提案してくれて、時にははげましてくれて、毎日元気をもらっています。また今の部署は失敗してもいいからなんでもやってみよう、チャレンジしてみよう、という雰囲気なので、そういった意味ではすごくやりやすいですし、心理的安全性が高いのでなんでも自由に取り組めています。
人生の転機
―最高な環境ですね。これまではどんなお仕事をされてきたのでしょうか
会社人生の半分以上はソリューション営業や企画、事業計画などを担当してきましたね。管理者になりたての頃は夜遅くまで職場にいるような働き方をしていたのですが…ストレスもあったのか狭心症になりましてね。それからは制約のある働き方をせざるを得なくなり、今までできていたお客様訪問や時間外勤務等、当たり前のことが出来なくなった。でも、その中で二つ意識したことがあったんです。
一つは、自分が営業に行けないので、メンバーと事前の訪問シミュレーションを丹念に行うこと。そうすることで圧倒的にコミュニケーション量が増えたし、彼らの考える力がぐんぐん育っていきましたね。
二つ目は、必ず定時に帰ること。今までとは真逆です。メンバーからすると課長が帰宅する前に報告や相談すべき点をまとめ、計画的に行動しないといけなくなるため、結果的に生産性が上がりました。当たり前のことかもしれないんですけれどね。なかなかできないんですよ、これが。
わたし自身の人生観は、とても大きく変わりました。家族に心配をかけたし、辛い思いもさせてしまった。働き方を後悔したこともありましたがこの経験をしたからこそ、健康の大切さや家族との時間をできるだけ作ることの大事さに気が付けたっていうのもあります。それが今のわたしの軸です。
―辛いご経験を経て、人事部門への異動はご希望だったのでしょうか
いえ、人事は全く興味がなかったですね(笑)。まぁ与えられたところで頑張ってみようかなというくらいのメンタリティで臨んだのですが…やってみると自分の性格にとてもあっていたんです。人事って人の人生を結構左右してしまうところがあると思うんです。だからこそ、しっかりその人のことを考えて向き合う。結局、人に喜んでもらったりとか、そういったことが好きな性分なんだなって自覚した数年でした。縁があってやり始めた人事業務でしたが、キャリアコンサルタントという資格をそこではじめて知りまして。これまではよくある、夢もやりがいもないような会社一筋みたいな人間だったんですよ。でも、キャリコンを知って学んで、そこから急激に世界が広がっていったような感覚でした。最初はキャリアを支援していくならこの資格は必要だろうな、くらいのある種義務感みたいな感覚だったんですけどね。
社内外でいろんなネットワークができたっていうことも大きなマインドの変化でした。
Will Can Must ってありますよね。その三つがキャリアコンサルタントをとってようやく重なったような感覚というか。またCanが大きくなるにつれて、Willも大きくなってくるような感じがするので面白いですよね。
―今のWillは何ですか
社内だけではなく、社外でも自分の経験を活かしていきたいですね。それが引退後のキャリアに繋がっていけばいいかな、と。そんなこともあって最近は副業で学生向けの就活アドバイザーのような活動もしています。
―今後の野望などあれば教えてください
まずは今、2級キャリアコンサルタント技能士に挑戦中です。まずはそれをとってできることややりたいことを更に広げていきたいですね。今の部署にもずっといるわけではないと思うので、次に行った組織でも自分のスキルを活かしてできるだけみんなで前向きになれるような支援が出来ればとは思っています。あとは、外のネットワークも広げられるような活動もしていきたいです。今は次のステップに向けて力をつける時期でもありますね。
鳥井 真次(トリイ シンジ)
西日本電信電話株式会社 総務人事部
プロフェッショナル人材戦略部門 キャリアデザイン推進室
営業や営業企画を歴任。管理職として地方赴任中狭心症となり働き方、生き方の価値観がガラリと変化する。その後、人事部門へ異動。キャリアコンサルタントの資格も取得し、精力的に活動の場を広げている。