賢いコーチ活用術 –良いコーチの条件・選び方のコツ–

2.コーチ選びのコツは?

自分に合ったコーチを見つけるコツはあるのでしょうか。コーチ選びには、まず以下の3つのポイントを参考にします。
A)コーチの保有する資格・経験
B)コーチ自身がスキルアップを行っている(コーチをつけている)
C)クライアントや他のコーチからの評価

a)コーチの保有する資格や経験

良いコーチの条件の一つ目に挙げられるのが、コーチの保有資格です。日本で発行されているコーチ資格は全て民間資格になります。数時間のトレーニングを受けただけで認定されるものから、数日間〜数ヶ月間に亘るトレーニングを受講し試験に合格した場合のみ取得できるものまであります。ポイントとなるのは、コーチがコーチングの実践をどの程度行っているかです。コーチを選ぶ際、一つの客観的な基準としてコーチの保有資格を確認する方法があります。例えば、世界的なコーチ認定機関であるICF(国際コーチ連盟)が認定する最上位のコーチの資格であるMCC(マスター認定コーチ)を取得するためには、ICFの認定するコーチ・トレーニングプログラム合計が200時間以上かつコーチング経験2,500時間以上あることなどが条件となります。MCC認定基準を満たすだけのコーチング実践を積んでいるコーチなら、コーチングスキルや経験が豊富だと判断できます。
一方で、実践経験を豊富に有しているものの資格に関心がなく、上位資格にチャレンジしないコーチもいます。したがって、必ずしも資格や経験だけでコーチの質を判断できるとは限りません。

b)コーチ自身がスキルアップを行っているか

良いコーチの条件の2つ目は、コーチ自身が学び続けていることです。コーチ自身が持つ価値観や思い込みがクライアントの思考や行動に影響を与え、制限を作り出すことがあるためです。コーチには常に自分の思考や言動を客観的にとらえることが求められます。どんなに優秀なコーチでも、他者からのフィードバックを受けず、自分のスタイルにとらわれていては、クライアントの成長に向けた十分な支援ができなくなってしまいます。コーチには、コーチ自身がコーチをつけてフィードバックを受け続けること、コーチングを学ぶ機会を持ち続けていることが求められます。したがって、自分が検討しているコーチがコーチをつけているか、コーチングを学び続けているかの2点を事前にコーチに確認すると良いでしょう。

c)クライアントや他のコーチからの評価

コーチングはコミュニケーション手法の一つであるため、可視化が難しいです。そのため、コーチとしての能力を定量的に観測することは困難です。しかし、実際にコーチングを受けたクライアントや他のコーチからの評価を参考にすることはできます。コーチングの成果は、クライアントの意識の変化・クライアントの行動の変化・クライアントの周囲の変化でよく評価されます。例えば、「モチベーションが上がった」というのはクライアントの意識の変化です。「感情的に部下を叱ることがなくなった」というのはクライアントの行動の変化と言えます。「部下が積極的に相談をしてくるようになった」「部下の営業行動量が増えた」などの変化は、クライアントの周囲の変化と言えます。この3つの変化のうち、最も難しいのはクライアントの周囲の変化です。クライアントの周囲まで変化を起こしているコーチは、良いコーチとして期待が持てます。
また、他のコーチから推薦されているコーチは、コーチとして同業者から評価されているので、良いコーチの指標の一つと言うことができます。