6.インターナショナルな人々と関わるには
移民による治安の悪化や移民向けの社会保障に対する不満から、移民の受け入れに抵抗感を持つドイツ人も少なくありません。生産年齢人口の約3割を移民が占めている状況において、ドイツではこれからも様々な違いを持った人が共存するインターナショナルな状態が続くことが予想されます。今後世界的にローバル化が加速して多国籍人材の登用が進み、マーケットの国境がなくなったとしても、人間が持つ価値観や文化的背景の違いは存在し続けるでしょう。日本にいると日本人の国民性に気づく機会はなかなかありませんが、自分たちが無意識のうちに身につけている慣習はどんなものか、自分自身が個として持っている特性はどんなものか、自己認識を高めることが重要です。自己認識を高めることによって「自分から見た相手の違い」だけでなく、「相手から見た自分の違い」を認識することができるようになり、相手に合わせて意思疎通や合意形成に効果的なコミュニケーションを選択することができるようになります。
グローバル化するビジネスの中で、インターナショナルな人々とどう関わるか。島国であるという地理的条件や外国籍の人が少ないという現状から限定された民族や思考の中に身を置きがちな日本人にとっては大きな意識の転換が必要になります。普段身近にいる日本人との間にも実はたくさんの「違い」があります。「私たちは違う」という前提で人と関わり、その人特有の「個」、自分自身の「個」を見つけていくことが、グローバルに活躍するための意識の転換になるのではないでしょうか。