日本人としてワインの美味しさを伝えたい【後編】


前編に引き続きCellier de L’oursonを経営されている伊東さんへのインタビュー後編をお届けします。後編は伊東さんのワインへの猛烈なこだわりが感じられる内容をお届けします。

-「泣いちゃうような」「ミルクセーキ」など、ワインを説明される際に独自の表現をされている印象を受けます。これにはどのような意図があるのでしょうか。
カッコいいことを言うと、店の味を出すために、自分なりのキャラクターで勝負するしかないと思ったんですよ。自分なりの表現っていうのはたぶん子どもの頃にできたんだと思います。実は、本を読むのが大嫌いな子供だったんですが、星新一さんの本がすごく好きなんです。ひとつひとつのストーリーが短くて、ひとつ読む達成感がすぐ来るんですね。表現力はもしかしたら星新一に育てられたのかもしれないです(笑)。

ソムリエには、なめし革とかアーモンドとか、標準化の表現があります。それを基本としながら自分なりの表現を探しました。日本人である以上、日本らしい表現がしたい。ライムとか青りんごとか表現するようなところを、日本らしい表現を使って、「かぼす」と言ったりします。あとはきなこもちとか、草餅とか、よもぎ饅頭っぽいなんて表現することもありますね。やっぱり日本人にわかりやすい表現をしたいんです。お堅い表現をしても誰も読んでくれない。店内POPカードデザインも自分で考えているんですが、お客様に読まれないものを作りたくないし、他にはないものを作りたかったんです。

-ワインのプロとして、日課とされている事や、心がけていること、意識されてることってどんなことがありますか?
日々、自分の3年後とか5年後とかの姿をイメージしながらやっています。
実は、スティーブ・ジョブズが作った昔のアップルの機械のコレクターなんですよ。ジョブズがなくなったときに名言をいろいろ読んだんですが、「あなたの時間は限られている」という一言がグサッと刺さりました。

この一言は、結局自分の目標を持たなきゃいけないってことなんだと思うんですよ。5年後のイメージとして持っているものがあるんですが、それはワインショップとか、ワイン業界が誰もなしえていないことで、私がこれからできるんじゃないかってところに目標を持って仕事をしています。